衝撃の真実!今明かされる顎割れの真相
20年前の戦争の時代が嘘のように穏やかな時が続く眞魔国。
皆が笑顔で静かな時が過ぎてゆく。
ある1部分を除いては・・・・・・
「コンラッドの馬鹿!!」
「ユーリ、俺の話しを聞いてください」
「嫌だ!あんたの話しなんか聞きたくない。どうせ俺はコンラッドと違って子供だもんな!」
「あれはそういう意味じゃ無いんです!少しは落ち着いてください」
「着いて来るな!コンラッドなんか大嫌い!!」
血盟城内に響き渡る魔王陛下の怒声。
どうやら護衛であるコンラッドが何らかの原因でユーリを怒らせてしまった様だ。
周囲の者達は普段の2人はとても仲睦まじいので、喧嘩なんかあり得ないと思っていたのだが。
所詮は他人事、『世の中めずらしい事もあるもんだな』と思ったくらいだった。
ちなみにユーリを怒らせた張本人はというと、『大嫌い!!』の一言で撃沈してしまい只今行動不能となっている。
しばらくは復活しなそうな護衛は無視して、すたすたと先に進んで行くユーリだった。
全く、コンラッドはいつまでたっても俺の事を子供扱いして。
結局コンラッドは、俺の気持ちなんか全く解っちゃいないって事なんだよな。
「陛下とコンラートが喧嘩するなんてめずらしいですね」
「へっ?ミレーユさん?!」
ミレーユはクスクスと笑いながらいつの間にかユーリの隣にいた。
ユーリは怒り心頭中せいかミレーユが近くに来ていた事には、声を掛けられるまで全く気づいていなかった様だ。
「何で血盟城に?ってか何でコンラッドと喧嘩してるって事を知ってるの?」
「陛下の声、外まで響いてましたよ?ちなみに何で私が血盟城にいるかっていうと、ウルリーケ様の使いで来たんですよ」
「そうだったんだ、お使いご苦労様です」
「お気遣いのお言葉、ありがとうございます。それはさて置き、陛下も喧嘩するって事があるんですね」
「俺だって喧嘩の1つや2つはするよ。地球に帰れば五月蝿い馬鹿兄貴と兄弟喧嘩なんて日常茶飯事だし」
「ふふっ、私もジュリアが生きてた頃は喧嘩をしては義父様によく怒られました」
へー、ジュリアさんとミレーユさんも喧嘩した事あったんだ。
「そういえば、俺も口喧嘩しては『勝ちゃん、有ちゃん、五月蝿いわよ!』なんてお袋からよく怒られたな」
「何言ってんですか陛下。口喧嘩なんて殴り合いの喧嘩に比べればまだ可愛い物ですよ」
なっ・・・殴り合いって。
そりゃあ殴り合いの喧嘩と比べたら口喧嘩なんて可愛い物だけどさ、ジュリアさんとミレーユさんって一体どんな喧嘩してたんだ?
「ミ・・・ミレーユさんとジュリアさんの喧嘩ってどんな感じだったのでしょうか?」
「そりゃあもう意地と意地、拳と拳、魔力と魔力のぶつかり合いでしたよ。私とジュリアの喧嘩が原因でウィンコット城崩壊1歩手前まで陥った事もあるくらいですから」
おかげで義父様には散々お説教をくらいましたけどね。
「へー・・・・」
そういえばジュリアさんって熊をも返り討ちにする程の強者だったけ。
義理とはいえ、そんなジュリアさんの妹をやっていたミレーユさんもタダ者じゃないんだな。
「あの頃は若気の至りって奴で私もジュリアも大人気無かったなーっと今ではつくづく思いますよ」
1番最後に喧嘩したのが、コンラートがまだウチで剣術指南していた時ですね。
その頃の私は既に医療部隊から眞王廟の警備部隊に転属してたんですよ。
それなのに!ジュリアったら医療部隊の治癒術の訓練を行う度に、訓練に付き合わされてる一般兵を虫の息の状態にしては私まで呼び出して治療の手伝いをさせられてたんです。
別に普通に手伝うくらいなら私も怒ったりはしなかったんですけどね。
「ジュリア!医療部隊の治癒術の訓練する度に兵士達をボコすのはいい加減に止めなさい!!何で医療部隊でも無い私まであんたの尻拭いをしなきゃいけないの!?」
「『元』医療部隊なんだからいいじゃない。それにミレーユは今日休みだったわよね?なら、あなたの仕事の邪魔してる訳でもないし別に問題無いじゃない」
「確かに休みでも、何日も徹夜で警備したへろへろの状態の人を普通使うか!?不審者が頻繁に出没したおかげで、ここ何日もろくに眠ってなかったんだから!」
「少し徹夜したくらいで嘆くとは情けないわね。あなた、少し根性鍛え直した方がいいんじゃないの?」
ムッ・・・・・
「人の心配する暇があったら自分の心配でもしたら?ジュリアは人使いが荒いせいであまり動かないから運動量が足りてないでしょう。以前あんたの服を借りた時、腰周りが緩かったわよ?少しは動いてダイエットでもしたら?」
カチン・・・・・
「どっかの誰かさんに貸したせいで布が伸びたんじゃないかしら?」
「婚約者が料理上手だからって、食べ物にがっついてばかりいたらそりゃあ太るわよね〜?」
ムッカ〜〜〜(怒)×2
2人の不穏なオーラが漂ってくる。
その様子を傍観しているウィンコット城の警備兵達はマジで恐がっていた。
「おいっお前、ジュリア様とミレーユ様を止めてこいよ」
「嫌だよ!御2人共マジで恐えーし。そんなに言うならお前が止めてこいよ」
「俺だって嫌だよ!まだ命は惜しい・・・・」
その場には、まだ年若いウェラー卿コンラートの姿もあった。
「あの2人は何をやってるんだ?」
2人から垂れ出てくる不穏な空気は色んな意味で衛生上に良くない。
あの2人を止める者はいなそうなので、コンラッドが自分で仲裁に入る事にした。
「ジュリア、ミレーユ2人共いい加減に止め・・・・」
ドコォ!!×2
止めに入ったコンラッドに息ぴったりの強力なダブルパンチが見事に入った。
「「五月蝿い!へたれはすっこんでろ!!」」
コンラート・ウェラー、喧嘩の仲裁に入るも逆に成敗されあえなくノックダウン。
「ミレーユと殺り合うのは久しぶりね、弓矢ばかりに頼って最近拳闘の腕が鈍ってるんじゃない?」
「ご心配無く、ジュリアに組み手を散々付き合せれてるおかげで鈍る暇も無いから。あんたこそ私に負けて吠え面掻かないでよね?」
「私があなたに負ける?寝言は寝てから言うものよ?ミレーユ」
2人の争いを止められる者は、もはやこの場にはいなかった。
「それからもう殴り合いの始まりでしたよ」
「す・・・凄まじかったんですね、止めに入ったコンラッドも可哀想に・・・・」
戦争でついたと思ったコンラッドの体中の傷って、もしかして半数以上がジュリアさんが原因?
ははっ・・・、まさかそんな訳無い・・・よな?
「そうそう話しは変わりますが、陛下はアーダルベルトの顎割れの原因って何だと思います?」
「アーダルベルトの顎割れって体を鍛えて割れたんじゃないの?もしかして、それもジュリアさんが関係してる?」
「ふふっ、それはですね〜・・・・・・」
後半へ続きます!
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