託された希望
「やったぁー、脱出成功!」
渋谷有利原宿不利こと眞魔国27代新米魔王は、等々ギュンターとの勉強の時間から脱走してしまいました。
だって、今日のギュンターはコンラッドが偵察の仕事でいないからっていつも以上に張りきっちゃって気が休まらないんだよ。
お陰ででこっちは息抜きのキャッチボールはできないし、ギュンターの暴走止めてくれる人もとい魔族がいないから余計に逃げ出したくもなるよ。
グウェンはアニシナさんにもにたあになれと拉致られるし、ヴォルフは暴走を止めるどころかギュンターと喧嘩になるし・・・。
まぁ、2人が喧嘩している隙に脱走できたんだけどね。
コンラッド早く帰って来ないかな?他のみんながいてくれてもコンラッドがいないとつまらないよ・・・。
ところでここはどこだろう?眞王廟が見えるってことは、血盟城からそう遠くないとはだと思うんだけど。
城から脱出して、見つからないうちに近くの森に入ったのはいいがすっかり迷ってしまったようだ
森の中を歩いてるうちにいきなり俺に目掛けて矢が飛んできた。
すんでで矢を避けた俺は近くの茂みに身を潜めた。
俺の命を狙って人間の国から密告してきた人なのかもしれないと思ったら無償に怖くなった。
矢が飛んで来た方から足音が聞こえてきて、俺は息を潜めて心の中で叫んだ。
(コンラッド、助けて・・・)
「近くに隠れているのは分かっている、姿を現せ神聖なる眞王廟へ近づこうとする不審者め」
俺の予想と裏腹に、勇ましいと思える程の女の人の声が聞こえた。
恐る恐る茂みの間から覗いて見ると、弓矢を構えてる女性の軍人らしき人物がいた。
「大人しく拘束されるならば命まで取る気はない、観念して出て来い」
俺の命を狙って来た密告者ではなさそうなので、とりあえず出て行く事にした。
「あっあの、俺は不審者でも怪しい人物でもなくて、その・・・」
「まっ・・・魔王陛下?!何故ここに?」
「俺の事知ってるの?」
「はっ、はい陛下とは気づかなかったとは言え、とんだ御無礼を。申し訳ありません」
構えた弓矢を伏せてからいきなり片膝をつきながら頭を下げられて謝罪されてしまった。
「そんな頭下げないでください、元はと言えば俺がここに迷い込んだのがいけないんだし。それよりお姉さんも魔族?」
「はい、眞王廟の警備部隊の隊長を務めさせていただいてます」
下げてた頭をやっと上げて応えてくれた。
「へぇー、やっぱり女性の軍人さんなんだ。格好いいな〜」
「私などより陛下の方がよほど美しく格好いいですよ」
・・・・やっぱりこっちの世界では美的感覚がずれてるらしい。
どう見ても十人並みの俺なんかより綺麗なお姉さんに美しいと言われても説得力の欠片も無いんだもんな〜。
とか何とか考えてるうちに、いつのまにか顔を覗きこまれていた。
「どうかなさいました?まさか、先程の矢でどこか負傷を・・・」
「違う違う、ちょっとね十人並みの俺なんかどこが美しくて格好いいのかなーって思ってただけだから」
「そんなことないですよ、陛下は美しくとても愛らしいです。それに見事な双黒ですね」
「はは、それはどうも」
愛らしいなんて褒められて複雑な気分だな。
こっちではよく美少年なんて言われるけど、俺からしてみればヴォルフとかギュンターの方がよっぽど美人なんだけどね。
「そういえば俺を知ってるってことは俺達どこかで会ってる?」
「はい、こうして陛下と言葉を交わすのは初めてですが戴冠式の時に姿を拝見してます」
「そうだったんだ、ってことはお姉さんも貴族なの?」
「えぇ、そういえば私の自己紹介がまだでしたね。初めましてユーリ陛下、十貴族の一員フォン・ウィンコット卿ミレーユと申します。どうぞミレーユとお呼びください」
せっかくなのでオリキャラとユーリを初対面させてみました。
中途半端ですがここで一旦区切ります。
続きはまた後日更新しますが、続きが読みたいなんて人はいるかな?
next