第6話 ジュリア姫捜索チームと魔王捜索チーム
へたれ護衛ことコンラッドの方へと変えよう。
彼もまた魔の森へと到着していて、ジュリア姫の捜索中でした。
そんな彼を少し離れた場所から見張っている女性がいました。
いくらへたれと言えども彼も有能な護衛の1人。
一部で史上最強だと噂されるジュリア姫の腕っぷしの強さで影が薄くなりがちではあるかもしれないが、そこはとりあえず気にしないでおこう。
とにかくその有能な護衛であるコンラッドが、先程から見張られている視線に気付かない筈は無かった。
あちら側がただ見張っているだけならこちらも気付かないふりして、相手がどう出てくるか様子を見ていた。
「・・・・・・・・・」
さっきからずっとこっちを見てる視線・・・・ジュリア姫、では無さそうだな。
彼女ならわざわざ隠れて俺を見張る理由は無いだろうし・・・・。
その通り、ジュリア姫なら見張るなんてまどろっこしい事せずにさっさとコンラッドを返り討ちにしてるだろう。
では、その視線の正体は誰なのだろうか?
このままでは埒があかないと思ったコンラッドは、相手に話し掛けた。
「さっきから俺を見張っている事はとっくに気付いてる。いい加減に出て来たらどうだ?」
コンラッドが目を向けた草むらの中からガサリと音を立てながら、弓矢を所持した1人の女性が出てきた。
「気配は消したつもりだったけど、気付かれたという事は私もまだまだって所ね」
その女性は魔王陛下捜索に出たもう1人の人物、名はミレーユであった。
まさか女性に見張られているとは思わなかったコンラッドは、表面には出さず内心で少なからず驚いていた。
見た目からしてジュリア姫と同い年くらいか少し下くらいだろうか、コンラッドは女性を見ながらそう思った。
「いや、気配は上手く消せていた。しかし、生憎だが消された気配でも探り出す事に鍛えられてるものでね」
知らず知らずの内にジュリア姫に鍛えられた賜物だろう。
それでもジュリア姫に到底適わない事に若干泣きたくなったコンラッドであった。
「とりあえず、その事は置いとくとしよう。さっきから俺を見張っていた理由は何なんだ?特に何か仕掛けてくる訳でも無いようだが」
「あら、それは愚問な質問ね。あんたも軍人なら分かるでしょう?軍人たる者、素性の知れない者にはそれなりに疑いの目を向けながら見極めるのが常識じゃない」
「確かにそうですね。あなたも見た所、何処かに所属する女性兵士と御見受けしますが、どちらから参られた?何故、魔の森と言われるこの場所に、あなた1人でいる?」
「仕える主が私達の目を盗み脱走したから、連れと二手に分かれてここまで探しに来たとしか言えないわ。悪いけど、これ以上あんたに話す義理は無いもの。あんただって、私に素性を明かす気は無いのでしょう?深く関わる気は無いから別に構わないけど」
「なるほど、あなたの所の主も手の掛かる人みたいだな。俺も同じ様な理由でここまで来たんだ」
・・・・・という事は、この男意外にも魔の森に足を踏み入れた者が他にもいるのね。
探し人がここまで来れたかどうかはともかく、少なくともこの男のは邪な考えを持つ存在では無いって事よね。
それにしても、前に迷い込んで来た男といいこの男といい一体何なのかしら?
いくら害の無い者でも、こう何人も入って来られると流石に厄介だわ。
アニシナに強力してもらって、もっと強力な結界にした方が良さそうね。
さっさと魔王を見つけて今の状況を済ませた方が良さそうだと、ミレーユの考えが至った。
「そう、なら見つけ次第ここからは早く離れた方が良いわ。私も主を見つけたら、さっさとこの場所から離れるつもりだから・・・・んっ?」
ミレーユは男の背後をよく見たら、空に煙が立ち上っていた。
いきなり不可解な表情をしたミレーユに、コンラッドは疑問に思った。
「どうしたんだ?」
「見て、あそこ煙が立ち上ってるわ」
コンラッドも背後を見て、煙がもくもくと立ち上ってるのを見た。
「火事・・・・では無さそうだな。火事にしては森の中が静かすぎる」
アーダルベルトが陛下を見つけて、狼煙でも上げて私に合図を送ってるのかしら?
煙を上がった場所を推測して、そうここから離れてはいなさそうね。
「もしかしたら、連れの連絡かもしれない。私、行ってみる!」
ミレーユは煙が立ち上った方に向かって走り出した。
その後に何故かコンラッドまで追って来ていた。
「何であんたまで付いて来るのよ!?」
「まだあなたの御連れの連絡と決まった訳では無いのでしょう?生憎、俺の主が何かやらかしてる可能性もあるのでね。だから確認しに行く」
ミレーユは全速力でコンラッドを引き離そうとするが、コンラッドの足も相当速い為、引き離す事は出来そうに無かった。
何はともあれ、2人が向かうその先で目にする物は一体!?
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