お騒がせ双子リターンズ★
注意書き
今回は、以前に記念フリー小説に登場したあの双子が再登場です。
本編を読まれる前に、以前登場した双子って何よ!?と思われた方はこちらをご覧くださいませ。
「「お腹減った〜!」」
空腹中でお留守番している双子の小学生、自宅の部屋の中はぐ〜っと腹の虫が盛大に鳴り響いていた。
只今の時刻は昼の12時ちょっと前、お腹を減らしていてもおかしくは無い時間であった。
「ポニ、ジェイソン達のお昼ご飯何も用意してない!」
「きっとフレディ達が、1週間前に今日は短縮授業だからお昼くらいに帰って来るって言ったのを絶対に忘れてるんだよ!」
ポニとはアーダルベルト番長の腹心の手下の1人、マキシーンの事であった。
何を隠そうこの双子達はマキシーンの妹、名をジェイソンとフレディと言う。
2人はまだまだいたずら盛りなので、マキシーンも何かと手を焼いてたりするのはまた別の話し。
それはともかく、マキシーンがバイトとかで帰りが遅くなりそうな時とかは大抵何か食べ物を用意していくのだか、今日に限って2人が短縮授業という事をすっかりぽんと忘れて何も用意していなかった。
これには双子達は大層ご立腹の様である。
「む〜、パンもカップラーメンも無い!」
「どうしよう?ジェイソン。フレディ達だけじゃあご飯作れないよ」
お腹は空かしていても、大人しくマキシーンの帰りを待つという選択は双子には持ち合わせていない。
よって・・・・・・・
「「ポニの所に行って食べ物を買うお金を貰ってこよう!」」
・・・・・・に、決定したのであった。
ちなみに、当のマキシーンは夕方まで授業がある為まだ学校にいるのである。
ぞくり・・・・
学校では相変わらずキーナンとつるんでいるマキシーン、急に嫌な予感を感じて身震いをした。
「どうした?」
「いや、何でも無い。ちょっと悪寒がしただけだ」
「何だ、風邪かよ。だらしねぇな、マキシーン」
「五月蝿ぇキーナン、そんなんじゃ無ぇよ!でもな、さっきから何か忘れてる気がするんだよなぁ」
マキシーンはすっきりしない頭を傾けて考え込むが、どうも忘れた事を思い出せない。
「でもまぁ、大事な事だったらその内思い出すか」
そう軽く考え、あっさりと思い出そうとする事を止めてしまった。
一方、ジェイソンとフレディはと言うと・・・・
「ねぇフレディ、ポニの行ってる学校は何て言うか知ってる?」
「う〜んとね、確か血盟学園って名前じゃなかった?」
「多分そんな様な名前だったと思う。変わった名前だね」
「うん、フレディも変わった名前だと思った」
こんな会話をしながらマキシーンのいる学校へと向かっている途中だった。
しかし・・・・・
「「ポニの学校ってどう行くんだっけ?」」
学校までの行き方をよく知らないジェイソンとフレディであった。
とりあえず、マキシーンのいる血盟学園までの行き方を他の人に聞く事にした。
その時、丁度タイミングの良い所に双子達の前から金髪でウェーブの掛かった長い髪の綺麗な女性が歩いてきた。
「あの女の人に聞いてみよう、ジェイソン」
「うん」
双子達は女性の元へと駆け寄って行った。
「「すみませーん」」
「あらん、可愛い双子ちゃん達ね。私に何か用かしら?」
「えっと、血盟学園の場所を知ってますか?」
「フレディ達、血盟学園まで行きたいけど道が分からないの」
「可哀想に、道に迷ってしまったのね。いいわ、私があなた達を血盟学園まで連れていってあげるわ」
それを聞いたジェイソンとフレディは嬉しそうに言った。
「「いいんですか?」」
「えぇ、勿論よ。何を隠そう私は血盟学園の理事長、名はツェツィーリエよ。ツェリって呼んでねvv」
「「はい、ツェリ様。よろしくお願いしまーす」」
「双子ちゃん達も私の事を『ツェリ様』って呼んでくれるのね。私の周りの人は何故か皆そう呼ぶのよね、何故かしら?」
ジェイソンとフレディも顔を見合わせながら疑問に思った事を言った。
「何でジェイソン達も『ツェリ様』って呼んじゃったんだろうね?」
「分かんない。何でだか自然に口からそう出てきた」
「まぁ、いいわ。とにかく、その事は置いといて行きましょうか。血盟学園はこっちの道よ」
真相は闇の中、もしくはツェリ様から発するオーラが自然とそう呼ばしているのであろう。
細かい事は気にせず、血盟学園へと向かう双子とツェリ様であった。
「そういえばツェリ様は理事長なのに、どうしてこんな所でウロウロしてたの?」
「うふふっ、何処かに素敵な殿方がいないか学園から脱走して町でリサーチしてたの。皆には内緒よ?とくに、血盟学園には私の息子がいるから気をつけてね。息子が旦那の耳に入れてしまうかもしれないでしょう?そしたらあの人は嫉妬して怒ってしまうのよ。私って罪な、お・ん・なvv」
ツェリ様は自分の美貌に酔い痴れていた。
理事長がそんな事してていいのか!?と突っ込みいれる者は、この場にはいないのであった。
「ところで、双子ちゃん達はどうして血盟学園に行きたいの?」
「ポニに会いに行くの」
「ポニって誰なのかしら?」
「ポニはね、ジェイソンとフレディのお兄ちゃんなんだけどお父さんの様なものなの」
「フレディ達のお昼ご飯、ポニったら何も用意してないからお腹ぺこぺこ。だからね、ポニの所に行って食べ物買うお金を貰いに行く事にしたの」
「そうなの、偉いわね。それじゃあ双子ちゃん達のお父様の様なお兄様に会えるといいわね」
「「うん」」
3人で仲良く歩く事の約10分後、マキシーンのいる目的地の血盟学園に到着したのであった。
「ここが血盟学園よ。私は理事長としての仕事が残ってるから戻らなくてはいけないけど、ここから双子ちゃん達だけで大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「ポニの学年くらいは知ってるから、他の人に聞きながらポニを探してみる」
「分かったわ。私は理事長室にいるから、困った事があったらいつでも尋ねて来てね。じゃあね、双子ちゃん」
「「ツェリ様ありがとうございました。ばいばーい」」
ツェリ様は双子達と別れた。
これから双子達のマキシーン探しが始まるのであった。
「とりあえず学校の中に入ってみよう、フレディ」
「うん、行こうジェイソン」
双子達は、学校の中へと入っていったのだった。
只今の時刻は昼の12時30分、血盟学園の生徒達は昼休み中である。
他の皆は色んな場所で持参したお弁当や購買部で買ったパンを食べている。
また、アーダルベルト番長も購買部で何か買おうと昇降口に来ていたのだが・・・・・
ジー・・・・・×2
アーダルベルト番長にとってはまったく見覚えの無い、双子の小学生に凝視されていた。
な・・・何で小学生くらいの子供がここにいるんだ?と、アーダルベルト番長は思った。
「「凄いマッチョ〜」」
双子達はアーダルベルト番長の鍛え上げられた筋肉質の体に見惚れていた。
どうしたらいいか分からないアーダルベルト番長は、とりあえず双子達の元に近付いて目線を合わせながら声を掛ける事にした。
「お前達の様な子供が何でこんな場にいるんだ?迷子か?」
双子達は首を横に振りながら話した。
「うぅん、違う。ジェイソン達はポニを探しに来たの」
「ポニ?」
「うん、フレディ達のお兄ちゃんなんだけどマチョ知らない?」
おいおい、初対面の人にいきなり『マチョ』かよ・・・・(汗)
アーダルベルト番長は呆れた感じで溜息を吐きながら言った。
「お兄ちゃんって事は、お前達はポニって奴の妹か。知らないと聞かれてもなぁ、俺はポニってのがどんな奴か知らねぇし。そいつの特徴はどんな感じなんだ?」
「う〜ん、一言で言うとポニは不死身なの」
「はぁ?」
アーダルベルト番長は素っ頓狂な声を上げた。
いきなり不死身なんて言われたら誰もがアーダルベルト番長と同じ様な反応はするかもしれないが。
双子達はアーダルベルト番長の反応なんかまったく気にせず、ポニの特徴を話し続けた。
「ポニって凄いんだよ。昔けっこう高い場所から堀に頭から落っこちた事があるんだけど全然平気なんだから」
「後ね、ポニは事故で車の下敷きになった事もあるんだよ。それでもおでこに軽い怪我をしたくらいで済んじゃったの」
「な、何かジュリアが聞いたら喜んで食いつきそうな話しだな・・・。じゃなくて!そういう特徴は別にいいから、『ポニ』って奴の外見の特徴を教えてくれ」
「え〜とね、ポニは顔に髭を生やした老け顔だよ」
「それでね、刈り上げポニーテールの髪型だから『ポニ』なの」
その特徴を聞くと思い当たる人物が約1名。
「その『ポニ』って奴は、もしかして・・・・」
言い掛けたアーダルベルト番長達の背後から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あ゛〜〜〜、ジェイソン!フレディ!お前達、何でここに!?」
背後を振り返ると、慌てた様な表情したマキシーンがそこに立っていた。
双子達はマキシーンの姿に気が付くと、嬉しそうに駆け寄って思いっきり腹部にタックルしながら抱きついた。
「「ポニーvv」」
ドコォッ!!
「ぐげぇっ!!」
マキシーンは双子達のタックルのダメージを喰らったと同時に、受け止めきれず後ろによろめいて後頭部を壁に思い切りぶつけたのでした。
昇天寸前のマキシーンであった。
そんなマキシーンの様子にはまったく気づかないジェイソンとフレディは、マキシーンの上できゃっきゃっと喜んでいた。
アーダルベルト番長はマキシーンを不憫に思いながら成り行きを見守っていた。
昇天寸前のマキシーンは呑気に倒れてる場合じゃない!と思い、体をどうにか起こして双子達にどうしてこんな場にいるのか訳を聞こうとした。
「ジェイソン!フレディ!お前達、学校はどうした!?」
ジェイソンとフレディは少し機嫌を悪そうに、頬を膨らませながら話した。
「む〜、ポニったらやっぱり忘れてる」
「忘れてるって、何をだ?」
「今日はフレディ達、短縮授業だからお昼前くらいに帰って来るって言っといたのに」
マキシーンはしばしの間考え込む。
思い返してみると、確かそんな様な事を少し前に言われた事がある様な気が・・・。
「あっ・・・悪い、忘れてた(汗)すまん、お前達の昼飯何も用意してない!」
「「うん、知ってる。だから何か食べる物を買いに行くからお金ちょうだいvv」」
ジェイソンとフレディはにっこりと笑いながら、マキシーンに両手を差し出した。
マキシーンはやれやれと言った様に、小銭入れから500円ずつ出して2人に渡した。
「これくらいあればコンビニで弁当くらいは買えるだろう。お前達だけで大丈夫か?」
「平気だよ。だってジェイソン達ポニよりしっかりしてるもん」
「ここにだって、ちゃんと人に聞いて来たんだよ。フレディ達偉いでしょ?」
双子達はそう言うが、マキシーンはやはり心配な様だ。
それを見ていたアーダルベルト番長はマキシーン達に近付いて話し掛けた。
「マキシーン、妹達がそんなに心配なら途中まで付いて行ってやればいいじゃねぇか。もし午後の授業に遅れる様なら、俺が先公にうまい事言っといてやるからよ」
「「あっ、マチョ」」
アーダルベルト番長に振り向きながらそう言った双子達に、マキシーンは驚きのあまりムンクの叫びの様な顔をしながら叫んだ。
「お前達!アーダルベルト番長に何つう失礼な事を!!」
そんなマキシーンをアーダルベルト番長は宥めた。
「まぁそう怒鳴るな、マキシーン。小学生の子供の言う事に、一々気にしても仕方無ぇだろう。俺は別に怒っちゃいねぇよ」
「番長、しかし・・・」
「そんな事を気にする暇があったら、お前の妹達を早く連れて行った方がいいんじゃねぇのか?双子達はそうとう腹空かしてる様だしな」
アーダルベルト番長がそう言うと、双子達のお腹から『ぐ〜』という音が聴こえてきた。
「ポニ〜、お腹が空きすぎて死にそうだよ」
「だくっ、お前達大げさだぞ」
「もとはと言えばポニがフレディ達のご飯忘れたのがいけないんだよ」
痛いとこ突かれてマキシーンは何も言えず言葉を詰まらせた。
「ポニ、一緒に連いて来てくれるなら行こう」
「ほら、早く早く」
ジェイソンとフレディはマキシーンをぐいぐい引っ張りながら走り出した。
マキシーンはアーダルベルト番長に振り返りながら言った。
「すみません、番長。こいつ等に昼飯買ってやったら直ぐ戻るので、後の事はよろしくお願いします」
「おぅ、気をつけて行って来い。じゃあな、双子達」
「「うん、じゃあねマチョ」」
マキシーンと双子達はアーダルベルト番長を後にして行ってしまった。
コンビニに向かってる途中のマキシーンと双子達はこんな会話をしていた。
「ジェイソン、フレディ、今回は仕方無いがもう学校には来るなよ」
「「やだ(キッパリ)だってマチョにまた会いたいもん」」
そうキッパリと告げた双子達にマキシーンはガクンと項垂れた。
人騒がせな双子の妹を持つマキシーンの苦労は増える一方であった。
END
双子のジェイソン、フレディ再登場&ツェリ様初登場となりました★
今度双子を登場させる時は、ジュリアともご対面させようとたくらんでたりします(・∀・)ノ