眞魔国で新年会 羽目を外し過ぎるのも程々に
新年明けましておめでとうございます。
俺、渋谷有利原宿不利は只今眞魔国の血盟城にいます。
年始くらい我が家でゆったりのんびりしたいなとも思いましたが、皆とお祝いも兼ねて宴会の様にドンチャン騒ぎするのもそれはそれで良いかと思われます。
実際に今はツェリ様主催の新年会真っ最中です。
皆が羽目を外して飲んだり食べたりして盛大に盛り上がってます。
しかし、皆様が羽目を外し過ぎてると思うのは俺の気のせいでしょうか?
気のせいだと思いたい今日この頃です(泣)
「ユゥ〜リィ〜、お前も少しは酒を飲んだらどうだ?婚約者である僕が直々にお酌してやるから感謝して飲め」
「俺は20歳になるまで禁酒禁煙のつもりだからお酒は飲まない!ジュースで十分だよ」
って言うかヴォルフラムさん、貴方既に酔っぱらってますか?
顔が真っ赤かな上お酒臭いですよ?
「何〜?!僕が注ぐお酒が飲めないとでも言うつもりじゃりか〜!」
酔っぱらってるんですね、しかも性質の悪い絡み酒タイプなんですか。
じゃり語で絡んでくる、この酔っ払いを『誰でも良いから何とかしてくれ〜』っとユーリは思っていた。
「ヴォルフ〜vv怒った顔も可愛いけどせっかくの宴なんだからそんなに怒っちゃ、イ・ヤvv」
ツェリ様がヴォルフラムに抱きついてきて怒りを宥めてくれてる。
「母上、ユーリが僕の注いだお酒を飲めないと言うんですよ?このへなちょこは婚約者としての自覚が足り無いんです!」
「酔った陛下を見てみたいとは私も思うけど、飲めないお酒を無理に進めては駄目よ?ヴォルフ」
飲めないじゃなくて飲まないんです!
お酒が平気かどうかは飲んだ事が無いので分かりませんが。
「陛下の代わりに飲むからヴォルフが私に注いでちょうだいvv」
「しっ、しかしですね母上、僕はユーリに・・・・・・」
ヴォルフラムの言葉は最後まで発せられ無かった。
・・・っく・・・ひっく・・・・。
どうしてもユーリに注いだお酒を飲ませたくてツェリ様に注がないでいたら、彼女の目から涙が流れてきた。
それを見たヴォルフラムは不味いという顔をして、おろおろし始めた。
「やっぱり、息子というのは大きくなったら母親を蔑ろにするものなのね。鬱陶しく思うのね(泣)」
「はっ、母上!いつ僕が母上を蔑ろにしましたか?僕は母上を鬱陶しく思った事も一度もありません!!」
「別に無理しなくていいわよ。・・・っく・・・私なんて、私なんて・・・・・」
『え〜〜ん』っと泣き出してしまった。
完全に酔っ払ってるツェリ様。
ツェリ様は酔っ払ったら泣き上戸になるんだな、っとユーリは思っていた。
とりあえず泣いてるツェリ様はヴォルフラムに任せる事にして、ユーリはその場を離れた。
ヴォルフラムごめん!!この場は頼んだぞ。
辺りを見回せば酔っ払ってるのはヴォルフラムとツェリ様だけでは無い様だ。
ある所では1人でもくもくと、無表情のまま編みぐるみを作っているグウェンダル。
背後にはぶさ可愛い動物の編みぐるみがいっぱい転がっていた。
別の所では雪ギュンターとお菊ギュンターが対決をしていて、他に酔っ払ってる人達がどちらが勝つか負けるかの賭けをして盛り上がっている。
「ギュンターが2人・・・いったいどうなってるんだ?」
そんな不思議な出来事を可能にしてしまうのが約1名。
どういう仕組みになってるか知りたい方は赤い魔女の所へ行くように。
質問は随時受付中。
「陛下」
「っうわぁ!!・・・ってコンラッドじゃないか、いきなり驚かすなよ。それと陛下って言うな名付け親」
「すみません、ユーリ」
コンラッドは見た所、いつもと変わんないけど酔っ払って無いよな?
少し不安になりながらも、じろじろと名付け親を観察してしまった。
「どうしました?ユーリ。俺の顔に何か付いてます?」
「いや、何でも無いよ。ごめんなじろじろと見ちゃって」
とりあえずは酔っ払って無さそうだな。
安心したユーリは一息も兼ねてジュースを飲み始めた。
「別に構いませんよ。それよりユーリに相談があるんですが」
「何?」
「俺達の子供はいつ頃出来るんでしょうね?」
『ブーーー』っと思わず飲んでたジュースを噴き出してしまった。
「どうしたんですか?ユーリ。ジュースなんか噴き出して」
「どっ、どうしたもこうしたもあるかー!!大体『俺達の子供』って、誰があんたの子供を産むっていうんだよ!?」
「勿論、ユーリですvv」
「俺に子供が産める訳ないだろうー!!第一、男の俺に子供は出来ません!!」
「ユーリなら大丈夫です、必ず出来ます!っと言うより俺の愛で作らせます!」
前言撤回、やっぱりこいつも酔っ払ってやがる。
絡み酒より性質悪りぃな。
しかも、その自信はいったい何処から来るんだろう?
「ユーリそっくりの可愛い子が良いですねvv」
「そうか?俺はどっちかって言うとコンラッド似のカッコイイ子の方が・・・・って、ちっが〜〜〜う!!」
いかん、いかん、こいつに付き合ってたらこっちまで流されてしまう。
「俺に子供は、で・き・ま・せ・ん!いくらあんたの愛が強くても出来ないものは出来ないの!」
「そんな事ありません!絶対出来ます!」
「だから、男同士は子供が出来ないんだってば〜」
男に子供が出来ないってくらい普通なら誰でも知ってるだろう。
何て説明したら解ってくれるんだよ?コンラッド。
そんな2人のやり取りを見て聞いて喜んでる者達もいた。
本来なら、この会場にいる人達は大抵酔っ払いが多い為、2人の会話なんて全く聞いてなどいない。
しかし、食事や酒を運んでくるメイド達は別だ。
仕事中に酒を飲むなどと言語道断。
なのでユーリとコンラッドの会話はしっかりと耳に入り、これを騒がずにはいられない状況になっていた。
「聞いて、聞いて、遂に陛下に御子様が出来たそうよ?」
「キャーvvそれ本当?それで、それで、相手は誰なの?」
「勿論、コンラート閣下に決まってるじゃない。御2人の子供が出来た様な会話を陛下とコンラート閣下がしてらしたもの」
「やっぱり陛下トトの大本命はコンラート様よねvv配当金を調べ直さなくちゃ」
「これで陛下トトの結果は決まりか〜。次はいつ頃に御子様の誕生なさるとか、お産まれになる御子様は男の子か女の子かの賭けになってくるわね」
「そうね、今回の倍率は難しくなってくるわ。男の子か女の子かなんて産まれてこないと解らないものね」
「でも御2人の御子様ならきっと素晴らしい子が誕生なさるに違いないわ〜vv」
酒は無くとも、次の賭け事の内容や産まれてくる子供の事で大盛り上がりのメイド達だった。
と言うより子供がどうこう言う前に、男同士で子供が出来る事なんてありえない事に気づけ。
後日、陛下トトの勝者はコンラッドという事になっていて、彼に賭けていた者達が大喜びしているのを目にする事となった。
既に次の賭け事は始まっていて、またトトの時の様に大盛況となるだろう。
皆から『陛下、コンラート閣下、おめでとうございます』という声がよくユーリとコンラッドに掛けられるようになっていた。
2人に子供が出来た噂を耳にしたヴォルフラムとギュンターは相変わらず『この、浮気者〜〜(怒)』っと言いながら怒り心頭でユーリを追い掛け回したり、涙と汁を流しながら嘆いてたりしていた。
一方、その元凶であるコンラッドは新年会の時の記憶なんてすっかりポンッと無くなっていたのだった。
「ユーリ、子供が出来たんですか?しかも、お腹の子は俺の子供ですよね?何で直ぐに報せてくれないんですか!?」
「だから、俺に子供は出来きる訳無いって何度も何度も説明したのに・・・・(泣)」
「ゆっ、ユーリ?!何で泣いてるんですか?」
「それも、これも・・・・・・・」
「あの・・・、ユーリ?」
「みんなあんたのせいだぁ〜(怒)もう2度と眞魔国で宴会行事なんて俺はやらないからなぁ〜!!」
ユーリは宴会行事は2度とやらない宣言して、その場を泣きながら駆け出した。
「ちょっ、ちょっと待ってくださいユーリ!」
その後を追ったコンラッドがユーリの怒りを静めるのに苦労したとかしないとか。
END
遅ればせながらも新年ネタの更新です。
ユーリに子供が出来たと皆でボケるネタ、べたべたですね(苦笑)
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感想などいただけたら幸いです。
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