理想のタイプは?
これは、ある授業の休み時間に女子生徒達の話題に上げられた事だった。
「えっ?私の理想の男性のタイプ?」
「えぇ、ジュリアって美人だし男子生徒達からもててるのに誰とも付き合ってないんでしょう?だから、もし彼氏にするんだったらどんな男性がタイプ?」
「やーね、私は別に美人でも無いしもててなんかもいないわよ。でも・・・そうね」
ジュリアはしばしの間考え込む。
「私がもし彼氏にするんだったらどんな男性かというのは、深く考えた事が無いからよく分からないわ。でも、こんな男性のタイプとは絶対に付き合いたくないってのはあるわよ」
ジュリアのクラスメイトの女子が興味津々で身を乗り出しながら聞いてきた。
「どんなタイプ?」
「それは勿論へたれ属性な男よ。へたれ属性って言っても、ただのへたれ男だったら鍛え直し害があって嫌いじゃないけどね」
「ジュリアが言う絶対に付き合いたくないへたれ属性と、ただのへたれってどう違うの?」
「一言で言うとコンラッドみたいな人はただのへたれね。幼い頃から鍛えてるつもりなんだけど、一向にへたれが治る傾向が無くって」
『はぁ・・・』っとジュリアは溜息を吐きながら言った。
一方、その頃のコンラッドはくしゃみをしてヨザックに風邪か?と質問されていたのだった。
「『コンラッド』って、同じクラスのコンラートさんの事?素敵な人じゃない、どこがへたれだって言うの?」
「私から言わせてみれば、十分にへたれよ。煮え切らない所とか、物事をはっきりさせない所とか他にも色々とね」
「じゃあ、絶対に付き合いたくないって言うへたれは?」
「そうね、言うなれば昼メロに出てくる様な何人もの女性に手を出して平気で浮気をする最低なへたれ男かしら。あれは見ていて本当に腹が立つわ。そんな人が身近にいたら鉄拳1発じゃ気が治まらない。徹底的に叩きのめして、女性を弄んだ事をどんな深い海峡よりも深く反省させるのよ!」
「なるほど、でもただのへたれタイプが嫌いじゃないんだったらやっぱりコンラートさんの事が好きなの?よく一緒にいるのを見掛けるから一部では付き合ってるんじゃないかって噂もあるくらいよ?」
「まさか、コンラッドとは幼馴染みってだけでよく一緒にいるのはある事に協力してもらってるだけよ。大体、友人として付き合うならともかく異性として付き合うなら話しは別よ。ただのへたれだろうが最低なへたれだろうが、論外よ(キッパリ)」
「あはは、はっきり言うわね。今のジュリアの姿、あんたの見た目に騙されて未だにお淑やかな女性だと信じきっている男達に見せてやりたいわ」
「見た目で判断するなんて、ここの男達もまだまだね。もし、異性として付き合う男性が私の前に現れるなら、誠実で、優しくて、何より腕っ節の強い人が良いわ。私と対等に渡り合えるか、もしくはそれ以上の人よ」
あれ?私が言うその男性のタイプって・・・・あの人に似てる?
ジュリアは一瞬ふとそう思ったが、とりあえず今はその事をあまり気にしない事にした。
ともかく、女同士のお喋りで互いに笑い転げながら過ごした休み時間だった。
一方その頃、アーダルベルト番長の方では・・・・・。
「はぁ?俺の理想のタイプの女か?」
「そうっすよ。番長の旦那さえ良かったら、聞かせてもらえませんかね?」
たまには男同士で語り合おうって事でアーダルベルト番長、ヨザック、コンラッド、番長の手下のキーナンとマキシーンなどなど、むさい男達が休み時間の間に集まっていた。
「そうだな、俺は別に女と付き合いたいって思った事無ぇからな」
「何言ってんですか?!アーダルベルト番長。初めて会った時からジュリアさんの事を気にしてたじゃないですか」
「ば・・・馬鹿野郎///余計な事言うんじゃ無ぇ!マキシーン!!」
「へぇ、アーダルベルトがジュリアをねぇ・・・。最近、ジュリアとはどうなんだ?」
「ジュリアと俺は何でも無ぇよ///コンラッド、お前も馬鹿言ってんじゃ無ぇ!」
「恥ずかしがらなくても良いじゃないか。俺からしてみれば、2人がそういう関係になってくれるのは大賛成なんだけどな。ジュリアもアーダルベルトと一緒にいるのは楽しそうだし、お似合いだと思うぞ?」
「でもよ、一部ではコンラートとジュリアさんは付き合ってるって噂があるぞ?その事はどうなんだよ?コンラート」
キーナンが言ってしまった失言に、マキシーンは慌てて耳打ちする。
「おいっ、キーナン。アーダルベルト番長の前でそういう事を言うんじゃ無ぇよ!(ひそひそ)」
「あっ・・・すまない。つい気になってしまって・・・(ひそひそ)」
「悪いが、お前等の話し全部聴こえてるぞ?その噂だったら俺も聞いたことあるが、別に俺には関係無ぇ事だ」
「アーダルベルト、誤解の無い様に言っておくが俺とジュリアはそんな関係じゃない。そもそも俺の理想のタイプは小柄で、可憐で、思わず守ってあげたくなる様な愛らしい人だ」
「はいはーい、いつからコンラッドの好みのタイプの話しになったんすか?しかも、今の説明で誰の事を言ってるのか大体の予想はついたっすよ。コンラッドの事じゃなくて、グリ江は旦那の好みのタイプの女性が知りたいの!」
話しが別の方向へと流れそうな時、ヨザックが入って話しを戻した。
「俺の理想のタイプ・・・か。前にキーナンにも言ったと思うが、刺激的で俺と対等に渡り合える女だな」
それを聞いたこの場にいた一同は同時に心の中で突っ込みをした。
((((それってやっぱりジュリア(嬢)((さん))の事じゃないですか!))))
END
そろそろとマチョとジュリアも進展させていきたいなーと思いつつ、次回はまた全く別の事を書きそうな予感がします。(苦笑)
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