集結!見た目は似てない3兄弟
「おーい、コンラッド。こっちだぞーvv」
「ユーリ、待ってくださーいvv」
コンラッドは愛しのユーリと花畑で追い駆けっこという、実に有り得ない構図であった。
辺り一面ピンクでまるで恋人同士が『うふふvvあははvv』みたいに、傍から見たらバカップル状態に思われても仕方無い。
コンラッドにとってはまるで天国の様な光景であった・・・・・。
「コンラート!いい加減に目を覚まさんかー!!(怒)」
いきなりの怒声が響き渡った。
「ん・・・?」
「まったく、やっと起きたか。気色悪いニヤけた顔でよく眠ってたな」
コンラッドは未だにぼーっとした頭で辺りを見回した。
どうやら先程見た天国の様な光景はコンラッドの夢だった様である。
先日に留学先から帰国した弟のヴォルフラムが、眠っていたコンラッドを叩き起こしたのが現実の状況だった。
「あぁ・・・何だ、ヴォルフラムか」
「久しぶりにあった弟に『何だ』とは随分ご挨拶だな。まぁ、僕も貴様の様な奴と同じ血が繋がってると思うだけで嫌気が差すがな」
「悪かったよ。久しぶり、ヴォルフラム。また会えて嬉しいよ」
「ふんっ、白々しい。僕は別に貴様になど会いたく無かったが、母上が会っておけと言うから会いに来ただけだ」
ヴォルフラムの嫌味にも堪えずコンラッドはくすりと笑った。
それを見たヴォルフラムはコンラッドをギロリと睨みながら言った。
「何が可笑しい?僕を馬鹿にしているのか!?」
「いや、すまない。ヴォルフラムは相変わらずだなと思っただけだよ」
「笑ってられるのも今の内だ。僕だって留学先では貴様に負けない様に、勉学と同時に剣術も一生懸命学んできたんだ。いつまでも昔と同じ僕だと思ったら大間違いだからな!!」
「はいはい」
余裕たっぷりのコンラッドにイラつきを隠せないヴォルフラムだった。
「まぁ、ヴォルフラムが無事に帰って来てくれて本当に嬉しいよ。グウェンダルもお前が帰って来る知らせをしたら、顔には出してなかったけど嬉しそうにしていたよ」
『グウェンダル』とはコンラッドとヴォルフラムの兄貴の事である。
つまり、コンラッドとヴォルフラムは3兄弟の次男と三男であったのだった。
「グウェンダル兄上・・・・。何年か離れてただけだが、きっと以前よりも立派になったに違いない」
ヴォルフラムはコンラッドの事は表面上毛嫌いしている様だが、グウェンダルの事は尊敬してる自慢の兄だった。
ドタタ・・・・・
何処からともなく走る音が聴こえてきた。
「何だ?」
「おっ、噂をすればかな?」
バーン!!
扉を騒々しく開け放ち、その扉から1人の長身の男が息を切らしながら現れた。
何を隠そうこの長身の男こそ、コンラッドとヴォルフラムが話していた兄のグウェンダルであった。
「やぁ、グウェンダル。大学お疲れ様」
「グ・・・グウェンダル兄上?!一体どうしたのですか!?」
今更ながら説明しよう、3人は兄弟とは言うものの見た目は全く似てないのだった。
長男のグウェンダル、黒に近い濃灰色の髪に青色の瞳の持ち主。
ぶっちゃけ威厳がある風貌から、ゴットファザー・愛のテーマの印象が最も似合いそうな男である。
ツェリ学園長の前の夫との子である為、現在の旦那であるダンヒーリーに全く似てないのであった。
グウェンダルの血の繋がった父親は、何年も前に不慮の事故により他界しているらしい。
次男のコンラートことコンラッド、ダークブラウンの髪に薄茶に銀の星を散らした稀な瞳の持ち主。
ダンヒーリーに特に似ていて、物腰の柔らかさとその容姿で兄弟中では1番女性にもてると言っても過言では無い。
しかし、只今彼のハートをガッチリと掴んでるフォーリンラブな子がいる為に周りの女性は眼中に入って無いのである。
ジュリアとは幼馴染みの関係ではあるが、その力量の差から子分状態になってるのは言うまでも無い。
最後に三男のヴォルフラム、3兄弟の中では1番母親の血を強く引いてるらしく金髪にエメラルドグリーンの瞳の持ち主。
兄弟中では1番美少女顔で、印象で言うとウィーン少年合唱団OBである。
しかしながら、愛らしい容姿で幼い頃から周りに可愛がられ過ぎたせいか、1番我が侭な性格に育ってしまった。
人によっては我が侭プーと呼ばれる事もあるが、見た目とは裏腹に兄弟の中では1番男らしく頼もしいのかもしれない。
とまぁ、説明はこのくらいにしといて話しを3兄弟の方へと戻そう。
真面目なグウェンダルにしては珍しく、騒々しくコンラッドとヴォルフラムの元へとやって来たのだった。
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ひ・・・久しいな、ヴォルフラム。す・・・すまない、アニシナに捕まりそうだったから全速力で逃げてきた・・・・」
グウェンダルはぜぇぜぇと息を切らせながら説明した。
ちなみに、『アニシナ』とはグウェンダルの幼馴染みの女性であり、同じ大学へと通う同級生でもある。
アニシナの選択している学科は主に科学である為、その実験のもにたあとしてグウェンダルが日々被害者となってるのであった。
ここだけの話し、ジュリアとアニシナは話しの馬が合う様で年齢は違っても親しい友人の間柄となってる様だった。
「兄上・・・相変わらずの様ですね」
「どうやら女性の尻に敷かれやすいのがウチの家系みたいだな。俺だって日々ジュリアにどんな目に遭わせられてるか・・・・」
何やらコンラッドもいじけた風に1人で愚痴ってしまった。
そんな中、グウェンダルが体制を整え改めてヴォルフラムに話し掛けた。
「とにかく、元気そうで何よりだ、ヴォルフラム」
「グウェンダル兄上も元気そうで何よりです」
「母上から聞いた、留学先で様々な事を学んできた様だな」
「はい、あちらで異国の事を学んだのは勿論の事、僕の知る限りの日本文化も広めてまいりました。特に僕が通った学校は日本文化や伝統を学ぶのにも力を入れてる様で、日本のスポーツである剣道や弓道などを学ぶ設備も整っておりました。僕は当然剣道に力を入れてきましたが」
「そうか、お前がどれだけ成長したか楽しみだな」
ヴォルフラムはコンラッドをギロリと睨みながら話し掛けた。
「コンラート、後程手合わせを願おう。今度こそ貴様を打ち負かせてやる!」
コンラッドも不敵に笑いながら言った。
「生憎だけど、俺の唯一の取り得である剣道でそう簡単に負けるつもりは無いな。相手がヴォルフラムであってもね」
「当然だ、手を抜く事があれば承知しないからな」
「はいはい、俺は一刻も早くジュリアに認められなければいけない身だからね。想い人と結ばれる為にね。だから、そんな馬鹿げた事をするつもりは躊躇も無いよ」
「なら良い。僕だって気に入った奴がいるんだ。今度そいつに会った時、今よりもっと成長した姿を見せる為に負ける訳にはいかない」
コンラッドとヴォルフラムの想い人が同一人物である事は、まだ2人は知らない。
それはともかく、久しぶりの再会を果たした見た目は似てない3兄弟であったとさ。
END
見た目は似てない3兄弟集結しました。
何気にコンVSヴォルにしたつもりではありますが、2人がユーリを巡って戦う前に史上最強の強者がドーンと立ちはだかるのでした(笑)
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