White Dayのお返しは・・・
「寒くないですか?ユーリ」
「んっ、平気だよコンラッド。それより、今頃血盟城は大騒ぎかな?」
「大丈夫でしょう、一応出掛ける事は書き置きしてきたんですし。それに、今日は元々俺もユーリもお休みなんですから執務の方は心配いりませんよ」
「うん、でも帰ったらヴォルフラムとギュンターが色々と五月蝿そうだけどね」
「ヴォルフラムとギュンターが五月蝿いのはいつもの事ですよ」
「それもそうだな」
俺達は、まだ日も昇りきってない明け方から外出している。
俺とコンラッドは今、ピクニックも兼ねて遠乗りに出ている。
コンラッドにバレンタインのお返しは『何が良いですか?』っと聞かれた時、俺は『ホワイトデーはコンラッドと2人きりで過ごしたい』っと言った。
そしたらコンラッドがホワイトデーは遠乗りに連れてってくれると言ってくれた。
そして今日この日がホワイトデーでもあり、2人で遠乗りに出かける日だ。
でも、コンラッドと2人きり出掛ける事などあの自称婚約者が許すはずも無いので、俺達はヴォルフラムが起きる前に血盟城を出たのだった。
「ユーリは行きたい所はありますか?」
「う〜ん、やっぱりピクニックと言ったら壮大な大草原か綺麗な湖が定番だよな。でも、まだ湖は寒そうだからゆったりできる草原が良いな」
「それではもう少し南に行った所に大自然に包まれた草原がありますから、そこに行きましょうか。俺も旅に出てた頃、立ち寄った事があるんですよ」
「うん、そこが良い」
早く着かないかな?コンラッドが行った事のある草原を早く見てみたいな。
しばらく馬を走らせて、漸く目的地へと到着した。
そこは大自然に包まれ、綺麗な草花もいっぱい咲き乱れていた。
「ユーリ、着きましたよ」
「うわぁ!凄い大草原。この地平線の彼方まで走って行きたいくらい壮大だな」
「お気に召しましたか?」
「うん、俺ここ気に入った。連れて来てくれてありがとう、コンラッド」
ユーリにも気に入ってくれた様で良かった、俺もここは気に入っている場所なので。
実を言うと、ここに俺以外の人を連れてくるのはユーリが初めてなんですよ。
「ここは綺麗な場所なんだな、空気もとっても美味しい。ここでお弁当食べたら、いつもより美味しく感じるだろうな」
「そうですね、昼食にも調度良い時間ですし早速お弁当にしましょうか?」
「うん、食べる食べる。俺もう腹ぺこぺこ」
「それでは、直ぐ食べられる用意しますね。俺とユーリの2人で作ったお弁当、早く食べたいとずっと楽しみにしてたんですよ」
「俺達が作ったと言っても、ほとんどコンラッドがほとんど作った様な物じゃん」
「そんな事ありませんよ。ユーリだって野菜を切ってくれたり、卵焼きを作ってくれたり、完成したおかずをお弁当箱に詰めてくれたりしたじゃないですか」
「俺は簡単な物しか作れないからな。今度、コンラッドが俺に料理でも教えてよ」
「はい、俺の出来る範囲で宜しければ喜んで手取り足取り腰取り教えますよ?ユーリ」
『腰取り』というのが少し気になりますが、ここはあえて突っ込まないでおこうと思ったユーリでした。
2人は荷物から取り出したお弁当を全部たいらげ、満腹となりました。
「あ〜もうお腹一杯、美味しかった〜。ご馳走様」
「はいっ、ご馳走様でした。ユーリが作ったおかず、とても美味しかったですよ」
「っん、サンキュー。コンラッドが作ったのも凄く美味しかったよ」
「ありがとうございます。また今度ピクニックに行く時は、2人でお弁当を作っていきましょうか?」
「うん、そうしような」
2人は、ほのぼのとした穏やかな空間に包まれていた。
「お腹も一杯になるとさ、眠くなってくるよな」
「眠たいのでしたら、寝てても良いですよ」
「うん・・・・お言葉に甘えて、少し眠らしてもらうね」
「ゆっくりと休んでください、帰る頃には起こしますね」
「・・・・1つだけ、お願い良いかな?」
「はい、何ですか?ユーリ」
「眠ってる間、俺の側にいて手を握ってて」
コンラッドは、そっとユーリの手を優しく握り締めた。
「そんな事でしたら、お安い御用ですよ。これで良いですか?」
「ありがとう・・・・すー・・・・」
おやっ?もう寝てしまいましたか。
朝も早かったうえ、今日のお休みの為に前日まで執務を頑張ってられた様だから無理も無いか。
それにしても、ユーリの手は俺の手より一回り以上も小さいな。
俺達、眞魔国民はこの小さな手でいつも守られている・・・・。
いつもはとても心強く感じるけど、今だけはとても弱々しく見える。
この小さな手で眞魔国を平和な世界に導く為に頑張る事は、負担の掛かる量が半端じゃ無いだろう。
もし、今みたいな時が少しでもあなたの負担が和らぐなら・・・・・
俺はいつだってこの手をあなたに貸そう。
俺に出来る事といったらこれ位しか無いけど、あなたの負担を和らげて差し上げるのは、いつでも俺だけであってほしい・・・・・。
ですから、今はゆっくりお休み・・・・ユーリ。
数刻眠りに入ってたユーリの意識が浮上してきた様だ。
その間、コンラッドはユーリの手を離す事無く、ずっと握っていた。
「・・・・・んっ・・・ふわぁ・・・コン・・・ラッド?」
「おはようございます、ユーリ。よく眠れましたか?」
「おはよう・・・・もしかして、俺が寝ている間ずっと手を握ってくれてた?」
「えぇ、この可愛らしい手を離すのが勿体無くて」
ずっと、握っててくれたんだ・・・・。
コンラッドも疲れてるのに、俺の我が侭を聞いてくれてたんだ・・・・・。
「ありがとな、コンラッド。コンラッドも疲れてるのに、俺の我が侭に付き合わせちゃってごめんな?」
「これ位、どうって事無いですよ。それに、今日はWhite Dayなんですからお返しにユーリの願い事は何でも聞きますよ?」
こんな我が侭だったら、いつだって喜んで叶えてあげたい。
「それならさ・・・・時々で良いから、また今日みたいな事お願いしても良いかな?」
「勿論、俺で宜しければ喜んで。でも、そんな事がお返しでユーリは宜しいんですか?」
「うん、それが俺にとって何よりの最高のお返しだよ。だって、俺のお願いは無期限有効なんだろう?だから、あんたの言った通り10倍以上のお返しを貰ったんだから俺は満足だよ」
それに、コンラッドの腕の中って凄く安心できるから大好きなんだ。
これを口にしたら、今ここでコンラッドに襲われそうだから絶対言わないけどね。
「さぁ、早く血盟城へ帰ろうぜコンラッド。あんまり遅くなるとギュンターのお説教が飛んできそうだしな」
「そうですね、皆に心配掛けない内に行きましょう」
俺はコンラッドと共に、楽しい安らぎの一時を迎えたWhite Dayとなった。
他の皆様も大好きな人と楽しくて安らぎの一時を迎えられます様に・・・・・。
A Happy White Day
END
10倍、100倍返しのWhite Dayストーリーを書くつもりが、あえなく挫折・・・・
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