白衣の天使(戦士?)その名はジュリア
皆に溺愛される眞魔国第27代魔王陛下陛下は、この度お風邪を召されたご様子です。
ベットの住人となっているユーリは日課としてるロードワークは勿論の事、執務も優秀な臣下達に任せてお休みとなりました。
寒気はするし、頭痛いし、腹の調子は良くないし、本当に風邪を引くとろくな事が無いとつくづく思う。
何より重要なのは、ロードワークに行けない事とキャッチボールが出来ない事だ!(←執務は?)
あぁ、憧れのマッチョ体形からまた少し遠ざかって行く(悲)。
そんな事ばかり考えてるユーリでした。
「はぁ・・・・、早くコンラッドとキャッチボールしたいな」
無意識に出てしまう溜息と本音。
体を動かすことが大好きなユーリは、今の状況は大変苦痛な様である。
『とにかく、風邪を治すには寝るのが1番だ!』っと言う事で、さっさと眠りに入ってしまったユーリだった。
風邪を治すには、それが単純かつ有効的な方法だったりする。
トントン・・・・
(↑控えめなノック音)
「失礼いたします、ユーリ陛下」
優しげな笑顔と共に、ユーリの部屋へと入室するジュリア。
今回ユーリが風邪を引いた事を聞きつけ、診察と治療にやって来たのだった。
しかし、ジュリアの呼び掛けには眠っているユーリには反応が無い。
「眠ってる様ですね。ふふっ、ゆっくり休んでくださいね?ユーリ陛下」
目の見えないジュリアでも、寝息とその静かな空間でユーリが眠ってる事くらいは伝わる様だ。
ジュリアはユーリの眠りを妨げないように、静かに治癒魔力を掛けてあげた。
「・・・ふわぁ、よく寝た。あれっ?ジュリアさん?」
「お目覚めですか?ユーリ陛下」
「何でここに?」
「陛下が風邪を召されたと聞いたので診察と治療にやって参りました」
「そうだったんだ。せっかく来てくれたのに、眠っちゃっててすいませんでした///」
ユーリは、ジュリアが部屋に来ても平然と眠ってた事に恥ずかしさと申し訳ない気分でいっぱいだった。
そんな事ジュリアは全く気にしていない。
むしろ、そんな事で顔を赤らめて恥ずかしがるユーリを微笑ましく思っていた。
「ふふっ、どうぞお気になさらないでください。もうすぐ、治療が終わりますからね」
普段の鬼軍曹っぷりからは想像の出来ない程、繊細で丁寧な治療をするジュリア。
その姿はまるで、自愛に満ちた白衣の天使(正確には白の軍服を着てるのだが)の様だった。
「はいっ、治療は終わりです。、ご気分はいかがですか?陛下」
「うん、だいぶ気分は良くなってきたみたい。ジュリアさんが治癒魔力を掛けてくれたおかげだよ」
「それは良かったです。えっと、熱は・・・・」(額ごっつん)
「ジュ・・・ジュ、ジュ、ジュ、ジュリアさん///!?」
ジュリアにいきなり顔を近づけられ、ユーリは沸騰中。
「・・・・まだ少しだけ高そうですが、熱も大分下がってきた様ですね」
「ほっ、本当にもう大丈夫だから///もう、起き上がれるくらいに・・・・」
ベットから起き上がろうとしたユーリは、ジュリアに制止されまたベットに逆戻りする形となってしまった。
「体調が良くなってきたからと言って、無理は禁物です。体をゆっくり休ませる事、これが風邪にとって1番の薬ですよ」
「は〜い」
ユーリは、少し不服そうに返事をした。
そんなユーリに、ジュリアはもう少しの辛抱ですよと声を掛けながらクスクスと笑う。
「はい、診察も終わりです。念の為、解熱剤とお腹の調子が悪い時の為に胃腸薬を渡しておきますね」
「ありがとう、ジュリアさん。そうだ!コンラッドも俺の風邪が移ったみたいで今、部屋で休んでるんだ」
「コンラッドも・・・ですか?」
「うん、ジュリアさんさえ良かったら俺を診てくれたついでに診に行ってあげてくれないかな?」
「はい、畏まりました。コンラッドの部屋にも診察と治療に行ってみますね」
ユーリのお願いを快く引き受けたジュリアだった。
「コンラッドの方もよろしくお願いします。俺を診たばかりで疲れてるのに、すいません」
「全然疲れてませんから大丈夫ですよ。コンラッドの方は私に任せて、陛下はゆっくりと休んでくださいね?それでは御前を失礼させていただきます」
「本当にありがとうジュリアさん」
ジュリアはユーリの部屋を出た後、真っ直ぐとコンラッドの部屋へと向かった。
今のコンラッドの元へ、1番行かせない方がいい人物を向かわせてしまった事にユーリは気づかないのだった。
ふ・・・・不覚にも風邪を引いてしまった。
ユーリも風邪を引いていると言うのに、何故こんな時に風邪に掛かってしまうんだ!?俺は。
護衛だと言うのに、ベットの住人となってしまうとは我ながら情けない。
早くユーリの元へ行って看病してあげたいのに!
何より、俺が風邪など引いた事をジュリアに知れたら・・・・・・・・・。
風邪の症状とは別に、ぞくりと悪寒を感じてしまうコンラッドだった。
ドゴォーン!!
(↑扉の破壊音)
その音に『びくっ!!』っと、コンラッドは起き上がった。
「だ・・・・誰だ?」
も・・・もしや、ジュリアに知られたか!?
「・・・コンラッド、あなた風邪を引いてしまった様ね」
「ジュ・・・ジュリア!」
ジュリアはコンラッドの部屋の扉を破壊して、有無も言わさず上がりこんで来た様だ。
ユーリの元へ行った時とは打って変わって『ゴゴゴォ・・・』と効果音を流れてきそうな感じで登場したのだ。
その姿は、まるで向かうところ敵無しの最強戦士の様だった。
「貴様が風邪を引くとは何事か!!貴様はそれでも軍人か!?軍人の身でありながら体調管理が出来ぬとは言語道断!!その腐った性根を1から鍛え直せ、このへたれ!!」
「もっ、申し訳ございませんジュリア軍曹殿!自分は軍人の身でありながら、風邪など引いてしまう愚か者です!」
「よく解ってるではないか。貴様は反省してるか!?」
「自分は深く反省しております!もう2度と風邪など引かぬ様にこの腐った性根を1から鍛え直し、体調管理を怠らない様にいたします」
「よしっ、ならば早速鍛え直してもらおう。この場で剣の素振りを1万回5セット、次に外へ出て血盟城の周りを100週走って来い!」
「はいっ!」
コンラッドは病人にも関わらず、ジュリアのハードトレーニングを遂行しなくてはならなくなった。
全てをやり終えたコンラッドは死んだ様に眠ってしまった。
体が弱ってた事もあり、すっかりと疲れてしまったのだろう。
しかし、不思議と次の日にはすっかりと風邪が治っていたのだった。
コンラッドは風邪によりかなりの高熱が出ていた為、普通は1日で完全復活するのは無理な状態であったが、何故かジュリアのおかげで風邪が1日で治ってしまった。
随分な荒療法ではあったが、汗を流した事によって熱が下がった様だった。
一方、ユーリの方はまだ少しだけ風邪気味っぽかった。
念の為に後1日だけ体を休ませる事となった。
「う〜、キャッチボールしたいよ〜」
「駄目です!ジュリアにも言われてるでしょう?ゆっくり休む様にと」
「コンラッドは良いよな、たった1日で風邪が治っちゃうんだもん。やっぱり軍人だけあって鍛え方が違うんだな」
「ははっ(汗)まぁ、そんなところです」
「そうそう、昨日はジュリアさんが俺の治療と診察に来てくれたんだ。ジュリアさんって本当に綺麗で優しい人だよな〜。あんな人を地球では『白衣の天使』って言うんだろうな」
ユーリの発言に、コンラッドはこう思っていた。
(ジュリアは『天使』と言うより『戦士』と言った方が近いです!)
ユーリとジュリアの婚約者アーダルベルト以外はオチオチと風邪など引けない眞魔国でした。
END
最近あまりコンユ書いて無いなと思いつつ、またもやジュリアネタです。
だって、鬼軍曹のジュリアを書くのって楽しいんだもん。(←おいっ)
このストーリーは、ヨシがインフルエンザで寝込んでいた時に考えついたネタです。