デートでお買い物
「早く、早く、コンラッド」
「そんなに急がなくても城下は逃げませんよ、ユーリ」
「だって久々に城下に行けるんだもん。早く城下へ行って、色々と見て周りたいよ」
そう、今日は俺にとって久しぶりに行ける城下町。
俺は護衛のコンラッドと共にお忍びで行く事になった。
コンラッドの弟であるヴォルフラムも最初は一緒に行くと駄々こねていたが、領地であるビーレフェルト領に急な用事があるとかで帰らなくてはならなくなったらしい。
ヴォルフラムは『いいか?ユーリ、僕が見ていないからと言って浮気するなよ!』と言い残して、渋々ビーレフェルト領へと戻っていった。
気の毒ではあるが、急用が出来たなら仕方あるまい。
お前の分まで楽しんでくるよ、ヴォルフラム。
と言う事で、城下町へ向けていざ出発。
「城下は相変わらず活気に満ちてるな」
「皆がこうして明るく町を活気だててくれるのは、ユーリのお陰ですよ」
「そうなのかな?もしそうだったら嬉しいけどな。俺みたいなへなちょこ魔王でも皆の役に立ててるのかな?」
やれやれ、この方はまた何を言い出すかと思えば。
この国がここまで明るくなれたのも、ユーリが魔王となって民を導いてくれてるおかげだという事に気づいて無い様だ。
まぁ、その鈍感さがユーリの可愛いところでもあるんだけどね。
「何を笑ってるんだよコンラッド」
「何でもありませんよ。ただ、あまりにも御自分の素晴らしさに気づいて無いユーリが可愛らしくて」
「男に『可愛い』って言葉は禁句!俺はいつかあんたよりも身長と筋肉をつけて、あんたよりも男らしくなってやるんだからな」
「その日が来る事を楽しみにしていますよ」
「その余裕っぷり、なんかムカつくんですどコンラッドさん。くそ〜、体をもっと鍛えていつか絶対見返してやるんだからな!」
本当にユーリは可愛いな、そんなにムキになちゃって。
でも俺よりも筋肉質で男らしいユーリなんて、この俺がさせませんからね。
そんなユーリになってしまったら、お姫様抱っこも押し倒すことも出来なくなりますからね。
「体を鍛えるならいつでも協力しますよ」
勿論、ベットで・・・ね?
「おぅ、よろしく頼むなコンラッド」
腹黒男の心の声に気づかず、城下町を満喫するユーリだった。
「ユーリ、今日は何をお求めですか?」
「近々グレタが帰って来るらしいから、グレタに似合う女の子らしい物を買ってプレゼントしたいんだ」
「それでしたら、あそこの店なんかは女の子物のグッズの品揃えが良いですよ。行ってみますか?」
コンラッドの指差した方の店に目を向けて見ると、女の子が好きそうなファンシー系な建物だった。
そこに入るには少し・・・いや、かな〜り勇気がいる。
「うん、行く」
男2人で入るには恥ずかしいが、グレタの為にもお父さんは覚悟を決めて入ります!
覚悟を決めて入ったユーリとコンラッドだが、店の中はやっぱり女性しかいませんでした。
うぅ、いざ入ってみるとやっぱり恥ずかしい///
予想はしてたけど、見事に女の人しかいないよ。
しかも、男2人でいるもんだからじろじろ見られてるし。
コンラッドは平然としてるけど、よく平気でいられるよな。
「ユーリ、そんなにそわそわしてたら返って不振に思われますよ」
「そ・・・そうだな、さっさと買ってさくさくこの店を出ればいい訳なんだしな」
「そうそう、リラックスですよユーリ」
「とは言うもの、何をプレゼントすればグレタ喜ぶかな?この人形は可愛いけどグウェンダルが編みぐるみをプレゼントするだろうし」
「グレタはユーリが選んだ物なら何でも喜んでくれますよ」
「何でもって、何だか適当に選んだみたいで俺は好きじゃない」
「ならユーリはグレタに何をプレゼントされたら嬉しいですか?」
「そりゃあグレタが俺の為に選んでくれた物なら何だって嬉しいよ・・・・・って、あっ・・・・」
「でしょう?グレタだってきっとユーリと同じ気持ちですよ」
「うん・・・・そうだよな。ありがとな、コンラッド」
難しく考えずに、俺が素直にグレタに似合うと思った物をプレゼントすれば良いんだよな。
でもグウェンダルが編みぐるみを渡すだろうから、人形とかはやっぱりパスしとこう。
何か他に良い物は・・・・あっ、このピンクのリボンなんかグレタの髪に飾ったら可愛いだろうな。
・・・・よしっ、決めた!
「コンラッド、俺このリボンをグレタにプレゼントする事に決めたよ。グレタの髪に飾ったらきっと可愛いぞ」
「えぇ、可愛らしいピンク色のリボンですね。きっとグレタも喜びますよ」
「うん、早速買ってくる」
えへへ、グレタ喜んでくれるといいな。
「すっかり日が暮れてしまいましたね。今日はもう血盟城へ帰りましょう」
「そうだな帰るか、今日はありがとうコンラッド。コンラッドが城下に連れて来てくれたおかげでグレタのプレゼントも買えたし」
「礼には及びませんよ、護衛として当然の事をしたまでです。勿論、恋人としてもね?」
「うわっ出たよ、キザ発言」
「キザ発言とは酷いですね、本心なのに」
「よく言うよ・・・そうだ!今度お小遣いが貯まったら今日のお礼にコンラッドに何かプレゼントするよ。何がいい?」
「そんな俺にプレゼントだなんて・・・」
「遠慮しないで好意は素直に受け取っとくもんだぞ?コンラッド」
「それでは、お言葉に甘えてユー・・・」
「言っておくけど、俺が欲しいというのは無しだからな!」
おやっ?珍しく先を読まれてしまったな。
ユーリが欲しいのは本心だけど、ここは次の機会まで我慢って事にしておくか。
「ユーリが選んでくれる物なら、俺だって何でも嬉しいですよ」
「それじゃあ、俺がコンラッドに似合うと思った物を今度プレゼントするよ」
「えぇ、楽しみにしています。その時はまた城下までお供させてくださいね?」
「うん」
グレタへのプレゼントを無事に買えたユーリ。
後日リボンを貰ったグレタが大喜びして、ユーリに飛びつきながらお礼を言ったのはまた別のお話し。
また、貯まったお小遣いでユーリがコンラッドに何をプレゼントしたのかも2人だけの秘密であった。
END
コンユでデートのつもりなんですが・・・・これってデートになってるんですかね?
それにしても、コンユを久々に書いたーって気がします。
いやっ、コンユって言ってもまた微妙なんですけどね。
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