イベント満載の秋! 文化祭直前のお披露目騒動
俺は今、この世から本っ気で消え去り足りたい!!っと真剣に思っている。
何故なら・・・・・・
「いや〜ん番長の旦那のメイド姿、か〜わ〜い〜いvv」
大変不本意ではあるが、事もあろうにこの俺が!!フリル付きの白いエプロンに黒を纏ったフリル付き膝丈スカートのメイド服を着ているからだ。
極め付きは、リボン付きの黒いチョーカーとフリル付きの白いカチューシャまで俺の首と頭に飾られている。
クラスメイトのヨザックは絶賛ではある様だが・・・・・俺のメイド姿が可愛いなんて事は本当にあるのか?
見た者をメイドならぬ冥土行きにしそうな予感がいっぱいのアーダルベルト番長であった。
文化祭当日まで直前と迫ったある日の事だった。
メイド喫茶のメイド係りと決まったアーダルベルト番長とヨザックを始めとした数人のクラスメイト達が、家庭科室でメイド服の衣装合わせをしていた。
「番長の旦那、メイド服の大きさはどうっすか?」
「あぁ・・・泣きたくなるくらい俺の体にピッタリだ。しかし、この微妙なスカートの長さは一体何なんだ?しかもヒラヒラしたフリルをいっぱい付けやがって、歩きにくいったらありゃあしねぇぜ!」
「旦那、メイド服に可愛いフリルは付き物ですぜ?それに、スカートの長さだってこれ位が丁度良いんっすよ。この見えそうで見えない長さが客受けするんっすよ」
何ともマニアック的な発想のヨザックに、アーダルベルト番長はドン引きしている。
「そんな事より、グリ江のメイド姿もどうかしらん?」
ヨザックは似合う?と聞きながらスカートを片手に持ち上げ、アーダルベルト番長の目の前でくるりと一回りした。
「あぁ、お前は良く似合ってるぜ。キャラ的にな」
「もう番長の旦那ったら、お上手なんだからvv」
そう言ってヨザックはアーダルベルト番長の肩をバンバンと叩く。
こんなオープンした性格を、アーダルベルト番長はある意味尊敬した。
(ヨザック、お前は大物だよ・・・・)
アーダルベルト番長がそう思ったのも束の間、ヨザックが今度は他にメイド姿となっているクラスメイト達の元へと行って番長と同じ質問をしていた。
「ねぇねぇ皆、グリ江のメイド姿はどう?」
「あはは、グリ江ちゃん似合う似合う」
「メイドと言えばヨザックの右に出る者はいないかもな」
「うふふ、ありがとvv皆も可愛いわよん」
ヨザックとじゃれあっていたクラスメイト達は、今度はアーダルベルト番長の方へと目を向けた。
そして次の瞬間、番長のメイド姿を見てカチーンと硬直した。
アーダルベルト番長のメイド姿はどうやら衝撃的だった様だ。
「あら、皆どうしたの?グリ江のメイド姿より番長の旦那のメイド姿の方が刺激的なのかしらん?」
「あぁ・・・自分で言うのも何だが、俺のメイド姿は色んな意味で刺激的だろうな」
見事に俺の予想通りのリアクションをしてくれたな・・・・。
暫くして復活したクラスメート達は、アーダルベルト番長のメイド姿から若干目を逸らしながら誉めだした。
「ア・・・アーダルベルト番長のメイド姿もよく似合ってるよ・・・なぁ?皆」
「う・・・うん・・・」
「その・・・可愛いって言うか、メイドでありながら勇ましそうと言うか・・・」
「あのな、そういう事は直視して言うものだぞ?」
まぁ、直視されても困るんだがな。
ヨザックに関してはキャラ的に多様の免疫はあっても、アーダルベルト番長となるとそうもいかないクラスメイト達だった。
「さぁ、グリ江達が可愛いメイドとなった所で、皆で他の人達にもお披露目に行きましょうよ」
「ゲッ・・・(汗)それ、マジで言ってんのか?」
「もうマジもマジ、大マジよーん。いずれは大勢の人達に見られるんだから今見られても変わり無いでしょう?ここは覚悟を決めていざ行くわよ、番長の旦那」
ヨザックはアーダルベルト番長の反対を押し切り、とりあえずメイド姿をしたメンバーで廊下を歩いた。
メイド姿のアーダルベルト番長達は注目の的、誰もが振り返って番長のメイド姿を見て硬直してたのは言うまでも無かった。
(皆の視線が痛いぜ・・・・(涙))っと、心の中でハラハラと涙を流していた。
ある程度廊下を歩いたら、ヨザックは皆バラバラでお披露目する事を提案した。
「いつまでも皆一緒でお披露目しても意味無いし、それぞれ散らばってお披露目しましょうよ。その方が良い宣伝にもなるかもしれないわん」
「それもそうだな。そうしよぜ」
「じゃあ、僕は北校舎の方行くね」
「俺は後輩の所に行って来る」
「グリ江も宣伝頑張るから、皆もしっかりと宣伝してきてね」
それぞれ別の場所へと移動するクラスメイト達を、ヨザックは手を振って送り出した。
「さて、番長の旦那はどうします?」
「俺はこのままここで適当にブラブラするつもりだ」
「分かったわ。じゃあ、グリ江は中庭の方へ行って来るわ。旦那もお披露目と宣伝頑張ってねーん」
ヨザックは相変わらずノリノリのまんま廊下を掛けて行った。(←良い子の皆様は廊下は走らないでくださいね)
あいつのテンションは何処から沸き上がってくるんだろう?と謎に思いながら、ヨザックを見送ったアーダルベルト番長であった。
「アーダルベルト?」
「コ・・・コンラッド!?お前、その格好は一体・・・」
アーダルベルト番長は気乗りしないまま廊下を歩き続けてたら、しっかりと黒のスーツに身を包んだコンラッドにバッタリと遭遇した。
2人は普段見慣れない互いの姿に、上から下までジロジロと観察してしまった。
「・・・へぇ、アーダルベルトが文化祭でメイドをやるって噂には聞いていたけど、想像以上に凄い格好だな(汗)」
「お前の友人のお陰でな。コンラッドこそ何でスーツなんか着てるんだ?」
「俺達のクラスは女子の提案で執事喫茶をする事になったんだ。それで俺は執事係り」
「じゃあお前のクラスの執事係りの奴等も・・・・」
「ジュリアの提案でお披露目と称した宣伝に散らばってるよ」
「そういやあ、お前とジュリアって同じクラスだったけ?」
「あぁ、そうだ。俺が執事係りになったのも・・・・・」
『その、無駄に良い容姿と天然ホストの性格を今利用しないでいつ利用するって言うのよ?ここは客寄せの為にもしっかりと執事になりきってもらうわよ!コンラッド』
「・・・・・っとジュリアに押し切られたからだ」
「互いに苦労するな(汗)まぁ、頑張れよ?」
「あぁ、アーダルベルトもな」
「あらコンラッド、早速可愛らしいメイドさんを口説いてるのね」
アーダルベルト番長とコンラッドが会話していた時、いつの間にか2人の背後にコンラッド同様、黒いスーツに身を包んで長い髪の毛を後ろに1つ結んでいるジュリアの姿があった。
「ジュリア、これは違う!俺は別に口説かれてなんか・・・」
「ふふっ、やーね冗談よ。それにしても、メイド服似合ってるわよアーダルベルト」
「そりゃどうも。ジュリアも執事服、随分と似合ってるな」
「ありがとう、私もコンラッドと同じ執事係りに決まったのよ」
「決まったと言うより、ジュリアは自分で立候補してたじゃないですか」
俺も巻き込みながら・・・・・。
「だってせっかくの文化祭なんですもの。どうせなら楽しそうな係りに率先してならないと損するじゃない。ねっ?アーダルベルト」
「俺は自分でメイドを立候補したんじゃ無ぇ!!」
「まぁまぁ、アーダルベルト押さえて押さえて。ジュリア、俺は別の所に宣伝に行きますからここは頼みます」
「えぇ、分かったわ。私が見張って無いからってサボるんじゃないわよ?コンラッド」
「はいはい」
コンラッドは苦笑しながら2人の元を去って行った。
この場に残されたアーダルベルト番長とジュリアは、とりあえず一緒に宣伝する事にした。
宣伝も兼ねたアーダルベルト番長のメイド姿お披露目も、硬直していた男子達とは正反対に女子達には大受けであった。
「キャー、アーダルベルト番長さんのメイド可愛いーvv」
「ジュリアさんの執事姿も素敵ねーvv」
「よっ、メイド番長日本一!メイド喫茶も執事喫茶も絶対行くからね」
ジュリアは笑顔でありがとうと言いながら、通り過ぎて行く女子生徒達に手を振る。
そんなジュリアとは裏腹に、アーダルベルト番長は女の好みって今一分かん無ぇと思った。
「ふふっ、メイド番長ですって。素敵なネーミングじゃない」
「たくっ、他人事だと思って。俺はこんな趣味なんか無ぇ!ってのに」
「過ぎた事をいつまでもぶちぶちと文句言わないの。何を言っても今更どう変化する訳でもないでしょう?」
「それもそうだな、ここまで来たらなる様になれだ。こうなったらクラスの売り上げをとことん上げてやるぜ!」
「その調子よ、アーダルベルト。でも、私達だって負けるつもりは無いんだから。文化祭当日、どちらのクラスの売り上げが良いか勝負ね!」
「おぅ、望むところだ。俺達だって負けるつもりはさらさら無ぇよ!」
メイド喫茶と執事喫茶、勝利の女神はどちらに微笑むのか?
なにはともあれ、文化祭当日まで後数日・・・・・。
<オマケ>
「ほら、番長の旦那。『お帰りなさいませー、ご主人様vv』って言うんですよ」
「お・・・おか・・・お帰りなさいませ、ご・・・ご・・・って、んな台詞言えるかー!!」
「メイド喫茶にはこの台詞が無いと駄目なんっすよ。さぁ、ここは1発覚悟を決めてグリ江と一緒に・・・」
「出来るかぁー!!(怒)」
メイド番長もといアーダルベルト番長とヨザックのやり取りを見ていたクラスメイト達は、『駄目だこりゃあ(汗)』っと先が思いやられていたのでした。
END
いつもながらにやりたい放題です(汗々)
このまま文化祭当日編まで行っちゃいますよ? 皆様覚悟は良いですね?
メイド喫茶又は執事喫茶に御入店希望の方は、名簿に記入をお願いします(笑)
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