イベント満載の秋! 文化祭準備から一騒動
暑かった夏の季節も終わりを告げ、冬の準備段階とも言える秋の季節がやって来た。
秋と言えば『食欲の秋』、『スポーツの秋』、『芸術の秋』、『読書の秋』、など様々あるが学生達からしてみたら体育祭、文化祭などと言った『イベント満載の秋』でもある。
そう、アーダルベルト番長が通う学校でも文化祭前という事で準備段階に入り始めた。
生徒達がそれぞれのクラスで、何の出し物をするかと話し合いをしていた時の事だった・・・・。
「おいっ、ヨザック!」
「何っすか?番長の旦那」
「『何っすか?』じゃ無ぇ!!何で俺が文化祭の出し物でメイドになんなきゃあなんねぇんだ!?」
「そりゃあ、俺達のクラスの出し物はメイド喫茶ですから。ちなみに、グリ江もメイドになるのよんvv」
ヨザックは女言葉でアーダルベルト番長に向かって、ウインクしながら投げキッスを送った。
そんなのを送られてもアーダルベルト番長は全然嬉しく無い。
むしろ、『うげっ!』っと気持ち悪がっていた。
「とっ、とにかく!お前の場合はノリノリでメイドに立候補しただろうが、俺の場合は自分がメイドをやるなんて一言も言って無いし聞いてもいない!」
「何言ってんすか、番長の旦那。話し合いの係り決めの時、番長の旦那にメイドでいいっすか?と俺が聞いたら『うん』っと言ったじゃないですか」
それを聞いたアーダルベルト番長は、『はい?』という様な呆け顔になった。
アーダルベルト番長からしてみれば見に覚えが全く無い。
只今の番長は、『俺は本当にうんと言ったのか!?』と自問中である。
「嫌ですねー番長の旦那、忘れちゃったんですか?疑いになるんだったら旦那の手下2人組みに聞いてみたらいいじゃないですか。ねぇ、キーナン?マキシーン?」
いきなり話しを振られたキーナンとマキシーンは、『ギクッ!』と挙動不審であった。
「どうなんだ?キーナン、マキシーン。俺は本当に『うん』と言ったのか?」
「え・・・えっと、まぁ・・・(汗)」
「た・・・確かに、『うん』とは言いましたよ・・・(汗)なぁ?マキシーン」
「ほっ・・・本当か!?」
アーダルベルト番長はキーナンとマキシーンの学ランの襟を鷲掴み、2人の首をがくがくと勢い良く揺らし問い詰めた。
「ちょっ、ば・・・番長」
「いっ・・・息が・・・」
キーナンとマキシーンの2人は勢い良く揺らされてる事によって息が出来ず、あの世へのカウントダウンに突入する1歩手前だった。
「ちょい、番長の旦那・・・・」
それを見かねたヨザックがアーダルベルト番長の肩に手を置いて、番長を止めようとしたが・・・・
「アーダルベルト、文化祭でメイドをやるって本当なの?!」
その時、どこからともなくアーダルベルトのクラスにジュリアが登場した。
アーダルベルト番長は予想外の人物の登場にびっくりして、思わず手下2人組みをぱっと離してしまった。
「ジュ・・・ジュリア?!お前、何でここに?ってか、お前のクラスの出し物決めの話し合いに参加しなくていいのか!?」
「それならご心配なく、私のクラスならお陰様でさっさと決まったわ。そんな事より、あなたが文化祭でメイドをやるって本当なの!?」
『どうなの!?』っと、ずんずんとアーダルベルト番長に近付いて問い詰めてくるジュリアに番長は若干たじろいている。
「ちょ・・・落ち着け、ジュリア。キーナンやマキシーンの話しだと、俺はヨザックにメイドでいいかって聞かれた時『うん』と応えたらしいんだが、俺は身に覚えが全く無ぇんだ」
「ふ〜ん、そうなの?」
ジュリアはキーナンとマキシーンの方に振り向き、今度はアーダルベルト番長からその2人に標的を変えた。
「でっ、真相はどうなのかしら?アーダルベルトの連れの御2人さん」
キーナンとマキシーンは先程の番長の行動で昇天1歩手前に陥ってたが、今はジュリアの乱入とか何やらあったお陰で奇跡の生還を遂げていた。
いやっ、大人しく昇天されていた方がまだマシだったかもしれないと2人は激しく思っていた。
「えーと、『うん』と言いますか『う〜ん』と言いますか(滝汗)なぁ?キーナン」
「おいっ、俺に話しを振るなよ!マキシーン」
「言ったか言わないかはっきりしないか!貴様等!!」
「「はいぃっっ!アーダルベルト番長は確かに『うん』と言いましたぁ!!」」
ジュリアの豹変に『びくっ!』っと驚き、キーナンとマキシーンは思わず敬礼しながら応えてしまった。
「だそうよ?アーダルベルト」
「うっ・・・・」
どうも釈然としないアーダルベルト番長に、ジュリアから強烈な一言が入る。
「アーダルベルト、男だったら自分で言った事は最後までやり遂げるのが筋ってもんじゃないの?それとも、あなたは自分で言った事はあっさりと曲げる軟弱者だったのかしら?」
「くっ・・・分かったよ。メイドでも何でもやってやらあ!コンチクショー!」
「そうこなくっちゃ。よっ番長の旦那、男前で素敵よんvv」
アーダルベルト番長はもはや、やけくそ気味だった。
「ふふっ、文化祭当日が楽しみねvv」
そう言って、ジュリアは呑気に笑っていた。
一方、アーダルベルト番長の手下2人組みは、『すいません、番長』と心の中で謝罪しながら成り行きを遠くから見守っていた。
他のクラスメイト達も騒動に巻き込まれなくてほっとしていた。
何故、アーダルベルト番長がメイドでいいか?と聞かれて『うん』などと応えてしまったのか、真相はこうなっていた・・・・。
あ〜、今日も良い天気だ。
窓際ってのはどうもぽかぽかと日差しが当たって眠くなるぜ。
アーダルベルト番長は係り決めの話し合い最中にも関わらず、うとうと眠気に襲われていた。
出し物がメイド喫茶と決まった所までは、アーダルベルト番長もしっかりと記憶に残っていたのだ。
しかし、それ以降の記憶がほとんど曖昧なのだ。
メイド喫茶なら裏方で厨房担当にでもなればいいかっと簡単に思って、後は成り行き任せで居眠りしようとしてしまった。
その時、ヨザックがアーダルベルト番長にメイドの事を聞いたのだった。
「番長の旦那は俺と同じメイド係りでいいすっか?」
今、正に睡眠に入ろうとしていたアーダルベルト番長はヨザックの声が聞き取れなかった。
その為に・・・・
「・・・・う〜ん?」
・・・・と応えてしまった。
「うん?今、うんって言いましたね?番長の旦那。って事で、メイドは番長の旦那とグリ江とその他数人で決定よん。他の皆もグリ江達に協力してねんvv」
メイド決定事項に、当然アーダルベルト番長の自覚は無いに等しかった。
決定?何が決定したかよく分からんが、これで静かに眠れる・・・・な。
という感じで、呑気に居眠りしてしまったアーダルベルト番長であった。
こうして今に至る訳なのだと、アーダルベルト番長本人は知らない。
END
文化祭当日編に続く・・・・のか?
執筆できたら・・・(爆)
何気にヨザックはアーダルベルト番長とクラスメイトだったりします( ̄▽ ̄;)
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