アーダルベルト番長と可愛い双子
とある放課後、アーダルベルト番長の元に可愛い訪問者が来ていた。
「「マチョ、遊びに来たよーvv」」
「何だ、お前達また来たのか」
マキシーンの双子の妹のジェイソンとフレディが、アーダルベルト番長に子猫の様にじゃれついていた。
勝手に遊びに来た2人をマキシーンは叱った。
「ジェイソン!フレディ!お前達あれだけここには来るなって言ったのに、何でいるんだ!?早く家に帰ってろ!!」
マキシーンの言葉にジェイソンとフレディの頬はぷくーっと膨れる。
「嫌、ジェイソン達マチョに会いに来たんだもん」
「別にポニに会いに来た訳じゃないもん」
ジェイソンとフレディは「「ねー」」と言いながら顔を見合わせた。
「お前等・・・・」
マキシーンはがくりと脱力した。
「すみません、番長」
「別に良い。ガキのやる事だ一々気にするな、マキシーン」
「へぇ、マキシーンに妹はいるって聞いてたけど、まだこんなちびっ子だったとはな。それにしても、お前等似てない兄妹だな」
「五月蝿い、ほっとけキーナン。そんなのは俺が一番、よーく分かってる。昔から妹達は『お兄ちゃんに似ずに可愛い子達だねー』と、直接には言われなくとも他の奴等の目が訴えてたからな」
「お前、昔から老け顔だったんだな・・・」
「てめっキーナン、人の気にしてる事を!」
キーナンとマキシーンは互いに口喧嘩をしてしまった。
「マチョー、あの2人仲良いね」
「ポニ、フレディ達の存在すっかり忘れてるみたい」
「まぁな、あれはあれで仲良いんだろうな。でもな、あの2人は出会った当初は仲悪かったんだぜ?」
「「そうなの?!」」
双子は目をぱちくりさせながらびっくりした。
「あぁ、今はあんな感じでも本当の事なんだぜ?俺とあいつ等が出会った頃は・・・・」
アーダルベルト番長は何か言い掛けたが、ふっと笑って止めてしまった。
「あいつ等の昔なんて今はどうでも良い事だな。一々話す事でも無ぇし」
双子はつまらなそうに愚痴をこぼした。
「言い掛けたんだから途中で止めないでよー、マチョ」
「そうだよ、フレディ達の知らないポニの昔を教えてよー、マチョ」
「本人の許可も取らずに、人の過去を他の奴に追及するのは趣味が良いとは言え無ぇぜ?」
不貞腐れてるジェイソンとフレディの頭に、アーダルベルト番長はポンッポンッと手を置いた。
「そう剥れるな、双子。まぁ、良い女に成長しなくても良いってんなら、好きなだけ剥れてろ」
「むー、じゃあ今回は仕方無いから我慢してあげる。フレディ達、いずれはマチョが驚く程の良い女になるんだから」
「そうだよ。絶対にマチョがジェイソン達の恋人になりたいって思うくらい良い女になるからね」
アーダルベルト番長は真剣に言う双子に、思わずぷっと吹き出しながら言った。
「期待しないで待ってるぜ?あいつ等の話しはまた今度、マキシーンがいる時にな」
笑って言うアーダルベルト番長に、ジェイソンとフレディの機嫌は下降する一方だった。
一方、ジュリアとコンラッドは愛しのユーリの護衛に向かう準備をしていた。
「今日はジュリアも護衛に来るんですか」
コンラッドはあからさまにがっかりしている様だった。
「えぇ、そうよ。コンラッド、何か不満でもあるのかしら?」
「いぇ、ありません・・・・」
実際はユーリと2人きりになれないと言う事にコンラッドは不満たらたらである。
それをジュリアに言えない可哀想なコンラッドだった。
ジュリアは嘆き気味のコンラッドを放っといて、護衛に行く準備を終えた。
「さて、行きましょうか」
そう言ってジュリアはユーリの元へ向かおうとした。
「待ってください、ジュリア。俺も直ぐ行きます」
コンラッドもジュリアの後を追って行こうとした。
そしたらヨザックがコンラッドの元へ訪ねて来た。
「コンラッドー、今日も坊ちゃんの護衛・・・・あれ、ジュリア嬢も今日は坊ちゃんの護衛に?」
「えぇ、今日は用事も無いしコンラッドばかりに任せてられないし、ユーリちゃんとも話しがしたいからね」
「そうっすか」
ヨザックはちらりとコンラッドの方を見た。
コンラッドの奴、あからさまにがっかりしてるな。
ジュリア嬢の前じゃ、迂闊に坊ちゃんに近づけないからなー。
「まぁ、頑張れよ?コンラッド、ジュリア嬢も」
「あぁ、ユーリの護衛はしっかりしてくるよ」
「ヨザックもまた今度暇な時で良いから、ユーリちゃんの護衛をお願いね?」
「へいへい、了解しましたよ」
「ありがとう、こうして護衛に向かってくれる人が多いと何かと助かるわね」
「そういやぁ、番長の旦那も坊ちゃんの護衛に行く時があるみたいっすね」
「アーダルベルトの場合は護衛と言うより、私の個人的用事に付き合ってくれてる感じね。でも、アーダルベルトも良い護衛になりそうね」
「ふーん、今日は番長の旦那を付き合わせないんっすね」
「今日はコンラッドもいるもの。あまり大人数でユーリちゃんの所に行っても不自然でしょう?アーダルベルトにはまた今度、別の日に付き合ってもらうつもりよ」
「そうっすか。まぁ、今日は番長の旦那の元に可愛い女の子のお客さんが来てるから、どっちにしろ無理みたいですけどね」
「可愛い・・・・・・女の子のお客さん?」
ジュリアの眉がぴくりと動いた。
「えぇ、それも2人も。番長の旦那って以外にもてもて・・・・」
コンラッドがヨザックに小声で話し掛けた。
「ヨザック、それ以上言わない方が良いんじゃないのか?」
ジュリアを見ろと、コンラッドはヨザックを促した。
ヨザックがジュリアを見たら、何故か不穏なドス黒ーいオーラを背後に纏っていた。
「あの・・・ジュリア嬢?」
「なぁに?ヨザック」
ジュリアはそれはもうにっこりと天使の様な微笑みをヨザックに向けた。
ドス黒いオーラを身に纏ったままなので、その笑顔に癒されるどころかハッキリ言って恐さ倍増である。
「あー・・・俺、用事思い出したんでもう行きますね」
「待って、ヨザック」
その場から逃げようとするヨザックの肩をジュリアはぐわしっと掴んで引き止めた。
ひー、恐い!恐い!コンラッド以上にマジ恐えぇー!!
っつか、肩も痛い!痛い!もっの凄く痛い!!
ヨザックはコンラッド以上に恐ろしい、ジュリアのドス黒いオーラに当てらた恐怖と掴まれた肩の痛みで若干涙目だった。
「私、今日はやっぱりユーリちゃんの元へ行かない方が良いと思うのよ。何故か知らないけど、すっっっっごく今は気が立ってるみたいなの」
「そ・・・そうっすか・・・・俺もその方が・・・・良いと思います」
「だから、私の代わりにコンラッドと護衛、行ってくれるわよね?」
これはもはやお願いと言うより、脅しに近かった。
ヨザックに拒否権という物は当然無く、無言でこくこくと首を縦に振るしかなかったのだった。
「そう、良かったわ。じゃあ、ユーリちゃんをお願いね?」
「はい・・・・」
こうして、今日のユーリの護衛はコンラッドとヨザックに決定したのであったのでした。
END