哀れダカスコスの日常
自分は眞魔国27代魔王陛下に御仕えする血盟城の一般兵を勤めるダカスコスであります。
心優しくとても美しくて愛らしい魔王陛下は勿論の事、閣下方や上司の方々にも誠心誠意を持って仕えてる身であります。
なのに!最近皆様から受ける自分への態度が明らかに酷いと感じるのは自分だけでしょうか?
「ちょっとダカスコス、ツェリ様にお茶とお茶菓子を用意したからツェリ様の部屋まで運んでくれない?」
血盟城のメイドが早速ダカスコスをパシろうとしていた。
「自分は今任務中であります、そういった事なら他のメイドに・・・」
「あんたと違って私達は今とっても忙しいの!だからお願いね」
ひ・・・酷い、これじゃ自分が暇人だと言われてるみたいじゃないですか。
自分だってこの血盟城を守るという大事な役割があるのに。
しかし頼まれた以上ちゃんとやらないと後が恐いので渋々言う事を聞く事にしたダガスコスだった。
「失礼します上王陛下、お茶とお茶菓子をお持ちしました」
「あら今日はあなたが運んでくれたのね。ありがとう『バカスコス』」
バ・・・バカって酷すぎますツェリ様、以前の花見の時もバカって間違えてましたけど陛下がその後すぐに「ダカスコス」と言ってたじゃないですか(泣)
「どうしたの?気分でも悪いのかしら?」
「いっ、いえ気分は悪くありません。自分はいたって健康であります」
「素敵vv殿方はそうでそうでなくっちゃ。それならこれをアニシナに届けてもらってもいいかしらん?」
ツェリ様が自分に近付いて来て薬草らしき物の入った袋を渡してきた。
それよりツェリ様、そんなに引っ付いて来たら胸が当たります///
「分かりました、直ちにフォンカーベルニコフ卿にお届けします。で、では失礼します〜///」
「お願いね〜vv『バカスコス』」
またバカって呼ばれたが脱兎で駆け出したダカスコスの耳には入らなかった。
正直あまり赤い魔女ことアニシナの元には行きたくないダカスコスだが、頼まれた事を途中で投げ出すわけにもいかないのでさっさと済ませようと決意してアニシナの元へ向かったのだった。
「アニシナ様、上王陛下よりアニシナ様にお届け物を仰せつかり届けに参りました」
早く事を終わらせたかったダカスコスはアニシナのいる実験室に着くなり用件を言って薬草らしき物を渡したのだった。
「おや、これは以前にツェリ様にお願いした薬草ではありませんか。ごくろう『タコスコス』」
タ・・・タコ!?バカの次はタコでありますか?あまりにも酷すぎます(悲)
「どうしました?用件が済んだのならさっさとお行きなさい。私も魔力の弱いあなたにこれ以上用はありません」
「あの、自分の名はタコスゴスではなくダカスコ・・・」
「男なら細かい事をいちいち気にしない!まったく、これだから近頃の男は駄目なのです」
実験の邪魔です、と言われながら追い出されてしまったダカスコス。
何故、名を間違えられた自分が文句を言われなくてはいけないのでしょうか?
しかし、アニシナには何を言っても余計にこれだから男はと文句を言われそうなので大人しくこの場を去っていった。
皆、酷すぎるであります。
自分はバカでもタコでも無い、正真正銘ダカスコスという名であるのに。
っと途方に暮れていた時・・・
「くぉら〜(怒)そこ何を油を売ってる!?さっさと持ち場に戻らんかこの亀!!」
反論の余地も無く軍曹化したギーゼラに一括されて早々に警備の任に戻ったのだった。
はぁ・・・自分は何の為にここにいるんだろう?
メイドからはパシられるは、バカだのタコだの亀だと呼ばれる始末。
ここまで我慢してまでここの兵士を務める意味などあるのだろうか?自信が無くなってきたであります。
「あれ、ダカスコスじゃん何してんの?」
そんな彼に声を掛けてきたのは麗しの魔王陛下だった。
「魔王陛下!?これはご機嫌麗しゅうであります」
自分でも意味不明の言葉を口にして敬礼してしまった。
「そんな畏まらなくていいよ。それよりどうしたの?何か元気無さそうだったけど」
「いっ、いえそんな陛下がそんなお気になさるようなことではありませんから」
「何か悩みがあるなら遠慮無く言ってほしいんだ。ダカスコスだって俺の大事な仲間なんだから俺にできることがあるなら力になりたいんだ」
じーん(感涙)陛下の優しさが心に沁みます。
「実は、ここで勤めていくのに少し自身がなくなってしまってただけです。自分なんかがいても役に立ってないんだろうなって・・・」
「そんなこと無い!!ダカスコスはよくやってくれてるし役に立ってないわけないだろう?ギュンターやグウェンだってあんたのことよく働いてくれる部下だって褒めてるくらいなんだから。何よりダガスゴスは俺のチームメイトなんだから勝手に抜けるなんて許さないんだからな」
何てお心のお優しい方なのだろう、こんなパシリにされてる一般兵にそこまで必要としてくださるなんて。
「ありがとうございます、自分は陛下のような方に仕えられて本当に幸せであります」
「大げさだな〜とにかく俺はもう行くけど元気だせよダカスコス」
そう言って陛下は去って行った。
自分は生涯陛下に忠誠を誓います!どんなに罵られようとも、バカだのタコだの亀呼ばわりされようとも。
このお方の為なら何だって我慢できると思い直し、またいつもの日常が始まるダガスゴスだったとさ。
END
初めてのダカスコスネタです。
眞マ国の休日でバカスコスと呼ばれた時思わず噴いてしまったので考え付いたネタです。
実際はタコ呼ばわりされてませんが、そこはスルーしちゃってください。
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